【14.05.16】原発被災地の今を知る福島ツアー【二日目】

無責任な国と東電に怒り―原発事故とたたかう人々

二日目は現地の方との懇談がメインとなりました。

最初にお伺いしたのは相馬市にある中島ストアー。このスーパーの店主・中島孝さんが「生業を返せ!地域を返せ!福島原発訴訟」の原告団長をされていて、地域の現状や裁判のことなど話していただきました。

次に伊達市・霊山へ移動。ここでは、市民団体と福島県北農民連が共同で太陽光発電による電力供給をはじめています。農民連の服部さんに発電所建設の経過や今後の課題など伺いました。

最後に、飯舘村へ。原発事故の影響で「計画的避難区域」に指定され、住民の避難生活が続いています。日本共産党飯舘村議会議員の佐藤八郎さんにお話を伺いました。

生業を返せ!地域を返せ!―生業裁判原告団長・中島孝さん

 
 高い線量で裁判中も被曝しているような状況でこの先どうなるか不安はある。国と東電による一番の被害者が立ち上がり声をあげなければ誰が告発するのか。原告団は「金が欲しいんじゃない。そんなものはくれてやる」という気持ちで裁判をたたかっている。

 地域では賠償金をめぐって分断されている。
 震災当時、漁師の母ちゃんたちと協力して物資配給をしたが、いまはだれも自分の所には近寄らない。漁師は漁業権の侵害ということで東電から補償金が出ているが、他の業者(小売店や飲食店)も深刻な影響を受けているがもらっていない。賠償金の有無や金額の差で地域内ではいがみ合いが起きている。「賠償金切られたらどうする。東電と喧嘩できねぇ」「中卒で船に乗ってまともに勉強したことないから、仮設住宅にいても辛くてパチンコ行くしか能がない」と言ってくる漁師もいて、それぞれが辛い状況に置かれている。

 3月25日の福島地裁の口頭弁論で東電は
 (1)現状回復が金がかかりすぎて無理
 (2)年間20ミリシーベルト以下の被曝にはなんの責任もない
 として原告に不当請求で棄却を求めた。
 国や企業は自分たちの都合で法律を変え、解釈する。東電はなんの反省も責任の自覚もないことに怒りを感じる。

原発に頼らない。太陽光発電で自給自足―福島県北農民連・服部崇さん

 
 「県北農民連第一発電所」と「福島りょうぜん発電所」を市民団体と協力して建設。出資者を一口二十万円で百口を目標に募り、結果目標を上回る百五十口集まった。自給自足で地元の業者・資材を使ってやるならこのくらいの規模が最もよい。発電は順調で目標を上回る発電量を維持している。
 農民連では福島の特産の桃やあんぽ柿の出荷が始まった。愛知でも購入してほしい。
 矛盾するようだが「事故から三年もたてば大丈夫だ」と思ってほしくない。事故は収束してないし、農産物の栽培も回復したのはほんの一部。福島の状況を「大丈夫」として風化させないでほしい。

住民一人一人のためにできることを

 
 飯舘村は農業が基幹産業。福島県一所得の少ない貧しい村だのが村民は「おたがいさま」精神で助け合って生活していた。
 震災当初、浜通りの被災者を受け入れたが、提供した食べ物や飲み物には放射性物質が含まれていた。情報が隠されて起きた事態に悔しい思いをした。
 震災後、自治体は一貫して「心配ない」との講演会を4月16日までしていたが、4月10日に国から避難が必要という指摘をうけた。しかし、村長が受け入れ拒否。最終的には政府が4月22日村全域を「計画的避難区域」に。そこから本格的な避難は始まった。村民の中には行政不信が渦巻いている。
 除染は大手ゼネコンを使って行っている。この辺も三回除染したがまだ高い。山間部は手つかずなので山から風にのって放射性物質がながれてきてしまう。除染は土の上を削っておしまいではない。地元の業者を使ったり、自分で除染したりしながら継続的にやることが必要。
 村民ならだれしも村に戻りたいと思っている。しかし、どう判断するかはそれぞれの自由。自治体としては戻る人にも出る人にも、必要最低限の生活ができるように保障するのが本来のありかただろう。

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