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【10.08.07】インタビュー  愛敬浩二さん(名古屋大学教授)どういう社会が望ましいかを展望して ー国民は構造改革NO

 愛敬 浩二さん(名古屋大学教授)に聞く

  お忙しい中、趣味はとおたずねすると「読書、映画、音楽、舞台鑑賞。推理小説も愛読書。料理も読書しながら作ります。」と愛敬浩二さん。 名古屋大学の研究室にたずね、選挙結果をどう見るのか、今後どう運動をしていけばいいのか、お話しを伺いました。

 
愛敬 浩二さん

1966年東京浅草生まれ。名古屋市千種区在住 1996年早稲田大学大学院法学研究科博士課程修了。1997年信州大学講師、2004年名古屋大学教授

参議院選挙の結果をどうみるのか

 今回、選挙制度の問題が非常に明らかになりました。二大政党に有利で、かつ、少しの得票の差で莫大な議席の差がつきます。民主党は今回、44と議席を減らしていますが、自民党は51、たいした差ではありません。政策が似ている2大政党ですから、有権者は、今の政権が気に入らなかったらもう一方の政党を入れる行動しかとられなくなってしまいます。

 もう一つの問題は、政党助成金制度です。議席と得票数に応じてお金が配分されます。比例定数を削減すれば、少数政党は勝てなくなります。民主党は、90%近く公金に依存し、そのような政党が本当に民意に関心をもつのか、政党助成制度廃止は重要な課題です。比例代表中心の選挙制度に変えていくことも重要です。 

民主党の新自由主義的バネが強まる可能性

 民主党に期待したほどの成果が出ていない。お灸を据えてやろうという選挙の投票行動が行われてしまったことが大きいと思います。

 公務員、国会議員などを攻撃する最も単純な論点のみんなの党が旋風を巻き起こし、10議席増えました。解決すべき問題があるにもかかわらず、自民党にも入れたくない、民主党も信頼できないという批判票がみんなの党に流れました。  民主党はもともと自民党よりも新自由主義的で事業仕分けなど様々な場面でその体質が明らかになりました。残念ながら、メディアはその点を評価したので、今後、民主党の新自由主義的バネが強まる可能性があります。他方、普天間問題では迷走を批判するばかりで、メディアの多くは「どうあるべきだ」とは言いませんでした。

解釈改憲」の方向に

 菅首相の私的諮問機関「あらたな時代の安全保障と防衛力に関する懇談会」への報告案は「非核三原則見直し」、「集団的自衛権容認」「基盤的防衛力構想」を見直すなど非常に積極的な提案です。民主党は国連中心主義的な発想があって、ブッシュ政権とは距離を置くというのがあったのですが、そういう違いさえなくなっている。

 軍事大国化を望んでいる人たちは、「解釈改憲」の方向に焦点を絞ったと思います。民主党政権もそれに乗っていることは明らかです。この報告案は、「密約」問題を持ち出し、もうウソをついているわけにはいかないから「核の持ち込みは、おおらかに認めましょう。」という論調です。

 明文改憲の危機は、やや遠ざかったかもしれませんが、軍事大国化はよりやりやすくなったかも知れません。九条をかたちだけ残し、最終的には、九条には存在意義がないから実態に合わせて変えましょうという理屈です。九条改定反対の世論が増えているからといって安心できません。

 アフガン、イラクはアメリカが攻め込む前よりひどい状況になっています。
改めて、2つの戦争に日本は賛成し、協力したことを確認する必要があります。 ブッシュは中間選挙で負けて力を失い、ブレアも辞めさせられました。2つの戦争に賛成した多くの指導者は責任追及されています。小泉さんがいまでも立派な政治家と言われているのは日本だけです。主権者として考えないといけません。

民主党の地方分権は

 そもそも、何のための地方分権化かが問題です。明らかに市町村合併で基礎自治体を大きくし自立させる。自己責任、自己決定のもとにサービスの切り下げが行われる可能性があるわけです。本来の地方分権の主旨とは異なり、新自由主義的な中央政府が責任を放棄して地方の自立に任せるというやり方です。

 重要なのは、決定のプロセスは地方に移させるが平等なサービスを提供出来る財源を中央政府なりが確保することが基本です。各市町村、県、国が提供すべきです。

 現在の地方の実態は、首長の力が非常に強く議会の力を強めないまま、地方分権をすすめると首長独裁になる可能性があります。実際、そうなりつつあります。 地方議員は政策をきちんと説明するという当たり前のこと、自分たちの存在意義を住民に訴えるだけの活動をしていくべきです。住民が監視し、良い議員を市議会に送っていかないと住民の利益は守れません。

長期的どういう社会が望ましいのかと考えて

 活力があるようでも貧富の差が広がって様々な問題が発生する社会がいいのか、少々停滞気味かも知れないが、みんながある程度の所得である程度の生活が出来る社会がいいのか、短期的にはそれが実現できないにせよ、長期的に展望を示している政党に投票する事が重要です。今回の参議院選挙は、そこをわかりにくくしたという意味では問題が多かったと思います。

 2009年総選挙で示された「小泉構造改革NO!」の民意実現のため政策実現を迫っていくことです。

 日本の軍事大国化はアメリカの世界的な軍事戦略に服従していくプロセスでもあるわけです。本当に国民の利益になるのかを真剣に考えるべきで、これをいかに断ち切るのか、小さな事でもやる必要があります。

 例えば、アメリカは思いやり予算削減にたいして「日米関係の基礎だ」とピリピリしています。可能なところから「協力」を減らしていくことが重要です。安全保障の問題では仮想敵国とされる中国ですが、経済的には中国との関係なくして日本はやっていけないわけですから、友好関係を増進していくことで安全保障を増進していく。アメリカとの関係についても、「日米安保を破棄したら、経済関係が悪化する」というのはリアルな状況認識ではありません。

 政治を抜本的に改革するには、時間がかかります。短期的に反応しているとかえって思わぬ方向にいってしまうということもあるわけで、安全保障の問題でも長期的な展望で運動をすすめていくことが重要ではないでしょうか。

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