【10.09.10】多数派めざして  鉄道に人権・民主主義・安全を!愛知県民フォーラム共同代表 村上俊雄

「採用に当り差別あり!」国は220億円支払う

 
 国鉄闘争とは――国鉄分割・民営化に当って、1047名が所属する労働組合によってJRに採用されなかった。国家の手による不当労働行為を許してはならないとして二三年間、闘ってきた。戦後、最大、最長の労働争議。

 中曽根首相は臨調行革の203高地として国労、全動労つぶしをめざした。中曽根は後になって、国労つぶし→総評の弱体化→社会党解体を意図して行ったとNHKで語っている。国労などをつぶすことで、日本の社会において労働組合の息の根を止めようとした。

 「採用に当り差別あり!」と東京高裁認定(2009年3月)――本年、6月28日、最高裁において1040余名は国との間で、和解協定を結んだ。・国は一人あたり1563万円の和解金を支払う ・国は、当事者(支援する者も含め)に58億円の団体加算金を支払う ・JRへの採用を求める(200人) ・和解後、訴訟を取り下げる 以上。 一人当たり2200万円を払う。国は220億円を支出する事になった。

 多数派を形成する――地方、中央労働委員会で差別在りとの救済命令を勝ち取る。中曽根首相の「一人も路頭に迷わせぬ」との国会答弁を実行せよ、1047名を放置するなの声は全国にあふれた。不採用問題の解決を求める地方議会の決議は計1232本(2010年4月10日現在)。総人口の過半数を超えた。

 政治解決のたたき台を出したのは与党三党と野党の公明党。政治解決を求めたのは「連合」、全労連、全労協。ILOの政府への働きかけ(勧告)は9本を数えた。
 多数派形成を創ったものは――国家の手による団結権破壊を許してはならないという怒り(組織を信頼し、仲間を裏切らない)が根底にある。1047名及び家族が二三年間、歯を食いしばって生活の厳しさに耐えてきたこと、働く仲間、支援組織、市民の物心両面にわたる支え、裁判闘争をリードした弁護士、学者の力が織りなされたことが大きい。
 今後には、200名のJRへの雇用、JRを公共交通機関として発展させる課題がある。

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