【12.04.10】河村市長の南京事件発言に抗議を 日中友好協会愛知県連合会長石川賢作さん

河村市長への抗議を送ろう!―南京jけんの事実を広く知らせ発言の撤回、謝罪を

河村市長の「南京大虐殺はなかった」との発言に、強く撤回を求め、真の草の根の友好に取り組まれている日中友好協会愛知県連合会の会長、石川賢作さんにお話を伺いました。                              
(聞き手 岩中美保子 写真 加藤平雄)

石川 賢作さん

 日中友好協会愛知県連合会会長
1930年6月、中国・大連市で出生。1947年2月大連から引き揚げ、1955年3月名古屋大学法学修士。  

発言の撤回を強く求める

 私たちは、河村市長の「いわゆる南京大虐殺はなかった」との発言に、2月24日、名古屋市役所を訪れて、抗議文を渡し発言の撤回を求めました。

 今年は日中国交回復40周年の記念すべき年にあたり、各方面でさまざまな友好交流を準備しすすめている矢先の出来事で、発言の直後、南京市は名古屋市との文化交流を停止しました。
 河村市長の発言は、学問的にも、国際的にも知れ渡っていることを否定する、常軌を逸したものです。

 先ず、あの有名な「ラーメン発言」はなにを意味するでしょうか。自分の父親が、敗戦後、南京付近で中国人に優しくしてもらい、ラーメンの作り方も教えてもらった。だから8年前の大虐殺などなかったはずだ、というものです。

 当時、南京の中国人は日本軍による8年間の占領の苦しみの後、中国政府の方針で旧日本軍に食糧を提供したのです。中国側は、さらに100万人を超える日本人を引き揚げさせ、1972年の国交回復に当たっては国家としての賠償も要求しなかったのです。それならば南京大虐殺だけでなく、731部隊による生体実験も、大量の強制連行・強制労働も、焼き尽くし殺し尽くし奪いつくした、かの「三光作戦」も、何もなかったことになるのでしょうか。

中共同研究の成果も否定

 06年から09年にかけて日中両国政府の合意で行われた日中歴史共同研究でも、被害者の数については両論併記になっていますが、「日本軍による捕虜、敗残兵、及び一般の市民に対して集団的個別的な虐殺行為が発生し、強姦、掠奪や放火も頻発した」ことは双方が認めています。
 こうした研究者の真剣な共同研究をも無視するのは「歴史を鑑に前に進もう」としてきた日中双方の人々の努力を無にするものです。

 また、市長が「人口が30万人もいなかったところで30万人も殺せない」、というのも、南京攻略戦が、もともと「南京特別市」という、南京城区と6つの県を含む広範囲で、100万人を超える市民、農民、兵士を巻き込んで起こったという基本も知らないことを示しています。

 他方、30万人との数字の論争に引き込まれてはなりません。30万に達しなくても世界に知られた蛮行があったのです。

歴史を書き変えようとする勢力

 一時、発言を撤回するような報道がありましたが、結局は撤回なしで、持論を押し通しています。この背景には、日中関係を破壊してでも、歴史を書き変えようとする勢力があり、彼一人では撤回はできないでしょう。私たちの事務所にかかってくる河村擁護の電話も同じ内容を別の人間が入れ替り立ち替りかけてくるのです。明らかに台本があって攻撃してくるのです。
 
 河村支持の声はかなり組織されており、批判の声が少ないのは、市民が問題の重要性について認識が不十分であることを示していますが、根底には学校での歴史教育の問題があります。さらに、ジャーナリズムも歴史に関わるものを避ける傾向を持っています。

 今のわが国ではよほど努力しないと、明治以降の歴史を知らず、「坂の上の雲」のように過去を賛美する思想が植えつけられたままになっていきます。もっと多くの人に南京事件の事実を知らせ、市長への抗議の意思表示が緊急に必要です。

 南京市は2月21日、名古屋市との交流停止を発表。これまで築いてきた民間交流に深刻な影響が出ると懸念しています。

「日本での正義の行動に感動」と中国側

 3月27日から29日まで日中友好協会愛知県連合会の南京と武漢訪問旅行団が南京市を訪問し、江蘇省人民対外友好協会と南京市人民対外友好協会、南京大虐殺記念館のそれぞれの副会長、館長と会見。その際、中国側は私どもの「抗議文」について「最初の抗議申し入れであり市民の声を代表、日中交流は行政のみ中断しているが民間は引き続き計画外も含めて拡大しよう」、「いち早く起こした皆さんの行動に感動。日本の正義の声を代表しており期待したい」と述べられました。これは抗議文が事前に中国駐名古屋総領事館を通し、南京大虐殺記念館の朱成山館長に伝わっており、その内容が江蘇省、南京市をはじめ各方面に送られていたからです。

 日中友好協会の運動の基本は「日中不再戦・平和」です。多様な文化交流や人事交流の中でも、この柱を位置づけ、様々な革新・平和の運動と連帯するものです。今後も市長発言の「撤回、謝罪」の声を広め、真の草の根の友好を進めていきます。

 

皆さん、是非、抗議のハガキやメール、FAXなどを集中してください。

(抗議文宛先)はがき

〒460―8508 名古屋市長河村たかし殿(住所不要)メールアドレス a3054@shicho.city.nagoya.lg.jp FAX番号 052-972-4105

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