【12.10.10】尖閣列島問題を考える-日中友好協会愛知県連合会・会長 石川賢作さん

 ここ数日、私の頭の中は中国の反日デモの映像でいっぱいである。
 私は大学3年生のときに日中友好協会の会員になり、それから60年以上「草の根」の友好交流を志してきた。その間には、中国の文化大革命による困難な時期もあったが、日中国交正常化が実現し、中国が改革・開放政策に転じるとともに両国関係は安定的に発展してきた。 この間、教科書問題や小泉首相の靖国神社参拝問題で反日デモは有ったが、今回のように125を超える都市でのデモははじめてである。私は新聞に掲載されたデモ発生の地図を見て、中国人の心の奥のマグマが噴火したように思えた。
 彼らの破壊や暴力行為は許せないが、領土問題という最もナショナリズムを掻きたてる問題で、日清戦争以来、残虐な侵略を受けたという歴史の記憶が火を噴いたのであろう。これはただ単にネット社会の現象などと見ることは出来ない。これら諸島は日本が領有し、現に実効支配しているところに「国有化」という手を突っ込み、これまでかろうじて両国の「黙契」であった「棚上げ」方針に混乱を持ち込んだ。・・ ここまで書いた時点(26日、夕)で、安倍晋三氏が自民党新総裁に選出されたというニュースが入ってきた。祖父の岸信介首相の時期、1958年に起きた「長崎国旗事件」で日中交流が全面的に中断した。
 憲法改悪、集団的自衛権の行使、慰安婦問題での河野談話否定などを唱える人物が首相になる日がくれば、日中関係は重大な局面に至るだろう。革新勢力が奮起しなければならない。

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