【14.05.10】原田芳裕さん――パワハラと闘う!人としての誇りを失いたくない!―『パワハラ地獄敢闘記』を出版

 
原田 芳裕さん

1976年名古屋市生まれ、名城大学法学部卒業。現在 パワーハラスメント防止対策コンサルタント「職場環境改善工房」代表。名古屋北部青年ユニオン書記長。

耐えがたいパワハラを受けて

 2011年9月にはいった会社でパワーハラスメントをうけました。2013年の6月に日本評論社から『パワハラ地獄敢闘記』を出版しました。
 会社で、試用期間の一方的延長をいわれ、クビになるのではないかという恐怖が私の頭をよぎりました。
 その後、正社員になりましたが、いろんな嫌がらせがありました。叩く、暴言を吐く、毎日人前で個別に長時間ずっと責められっぱなしでした。堪えがたいパワハラでワラをもつかむ思いで「名古屋北部青年ユニオン」をインターネットで探し、すぐに電話で相談をしました。
 この上司とはたたかわないといけないと腹を固め、社長に直訴の手紙をだしました。それでも別の形でパワハラは続きました。いろいろ考えて団体交渉を行いましたが会社はパワハラを認めませんでした。弁護士の方とも相談し労働審判委員会にもちこみ、調停が成立、私の圧勝という内容でした。

「ふつう」に生活することが脅かされていいのか

 この一年半のたたかいは私に貴重な経験を与えてくれました。同時に、ふつうに働き、ふつうに生活していくことがどれだけ困難をともなうのかも思い知らされました。
 今、この瞬間にも、職場でパワハラにあい、健康と生活を脅かされ続けている人が大勢いると思うと自分がパワハラを乗り越えただけでよいのかと思い、私の経験を他の職場でいじめに会っている人たちに役立てることはできないものか、ずっと相談にのり団体交渉をしてくださった名古屋北部青年ユニオンに恩がえしはできないものだろうかと思ってきました。その中で月一回の電話労働相談をおこなっています。
 そこでの労働相談を受ける中で感じたことは、経営者、管理者も含めて何がパワハラになるのか、どういったことが許されないのかの認識が全くないということに気付きました。経営者自身にコミットしなければならないと感じました。
 昔もいまもパワハラの有り様は本質的には変わっていないと思います。
 何がパワハラで何がパワハラでないのかという線引きをすることは根本的にまちがっていると思います。厚生労働省の業務上適正範囲という法的な範囲内であったら、人の心を壊していいのか。どこからパワハラだというのは、これほどおろかな議論はないと思います。

利益さえ上げればいいというシステムから新システム

 安倍政権の労働政策は、労働者を流動的に自由に使いやすくしたいということです。あくまで経済理論からみただけのことで労働者の気持ちには立っていないと思います。
 結局、いかに資本に都合よく労働者を使っていくのか、今うまく使えない人は切り捨ててもいいという考え方です。
 資本主義という経済システム、利益さえ上げればいいという社会のシステムから新しいシステムを生み出さないといけない時代になってきていると思います。
いかにして自分達の職場環境改善をしていくのか、心地よく話し合える場作りを目指していくのが一番重要です。
社長が相談にきましたが、ようやく耳を傾けてくれる経営者の方が来てくれるようになりました。

小さな叫びを汲み取っていきたい

 パワハラをうけて相談にきた人のなかには涙ばかり流していた人が笑顔を取り戻したり、「正気」を取り戻した人もたくさんいます。 もちろん、私たちに解決できないことも多いのも事実です。
 労働トラブルは一人でかかえると精神疾患、失業、家庭崩壊、自殺などにつながっていきます。
 このような小さな叫びを汲み取っていくことを、これからのライフワークにしたいと思って、「職場環境改善工房」を立ち上げました。
 労働トラブルは被害者にとってはまさに生死に直結する問題です。 人としての誇りを奪ってしまいます。私は、人としての誇りを失いたくなかったので闘い抜きました。今度は、その経験を社会に役立てる番だと思います。日本社会からのパワハラ根絶をめざし、小さいながらも行動をおこそうと考えています。
 パワハラで悩んでおられる方は、ともに立ち上がりましょう。

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