【14.06.10】ホントに怖いTPP―岩月浩二(弁護士、「TPPを阻止する国民会議」世話人)

 
 日本は、米国のTPP交渉参加の承認を得るのと引き換えに非関税障壁に関する日米二国間並行交渉を行うことを約束した。「非関税障壁」というのは簡単に言えば、暮らしの仕組みだ。
 これによって何が起きているか、ほとんど知られていない。

 すでに食の安全が脅かされている。TPP交渉参加後、安全性が承認された遺伝子組み換え作物は激増した。すでにトウモロコシだけで198品種もの遺伝子組み換え作物が承認された。
 また米国ですら認められていない枯れ葉剤を撒いても枯れない作物の商業栽培も認められた。
 遺伝仕組み換えによるイチゴが犬の歯周病治療の薬として初めて承認された。
 
 オーガニック(有機栽培)食品については米国基準で承認されたものは日本でもオーガニックとして承認することになった。健康食品がどのような有効性があるかも企業が自分で判断して表示してよいことになろうとしている。

 二国間協議に前後して行われたのは、アメリカ産牛肉の輸入緩和、BSE全頭検査の廃止、そして米国産自動車輸入に伴う安全基準審査の省略だ。軽自動車優遇税制の廃止、減反廃止、そして企業の農業参入拡大、混合診療解禁も日米協議絡みで勢いづいている。

 生涯派遣法や残業代ゼロも、TPPと無関係ではない。外国人労働者の受け入れ緩和もヒトの移動の自由を謳い文句とするTPPに関係する。

 農協をめぐる改革議論は、いずれ全ての協同組合や共済制度に及ぶ。

 多国籍企業に都合いいように私たちの暮らしの仕組みを壊す。
 TPPの真実の姿はあまりに知られていない。

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