県革新懇ニュース−この人に聞く

【15.06.10】平川宗信さん――主権者の一人として考え、行動しよう!―すべての社会問題は真宗者の課題

平川 宗信 さん

 1944年生まれ。真宗念仏者
刑法学者 名古屋大学名誉教授
東京大学法学部卒業。メディア問題や、死刑廃止フォーラムinなごやなどの市民活動に関わる。真宗大谷派・九条の会共同代表世話人

生きる根拠を求めて

 私は青年時代、自分の生き方が分からず、時代状況をただ傍観するだけでした。私は僧侶でも寺の出でもありませんが、それで「人間の真実の生き方」を仏教に求め、真宗に行きつきました。宗教は心や個人的な生き方の問題と考えられがちですが、社会に関わる人間としての生き方を問わねば自己の生き方を問うたことになりません。真宗の師である和田稠先生は、「世の中のすべての社会問題・政治問題が真宗者の課題である」とおっしゃっています。

「地獄・餓鬼・畜生のない社会」を

 日本国憲法は、真宗の視点から見て非常に優れた憲法だと思います。
 憲法前文には「崇高な理想、公正と信義に基づく恒久平和」との理念が掲げられています。
 「平和を維持し、専制・隷従・圧迫・偏狭・恐怖・欠乏」をなくすという誓約は阿弥陀如来の「地獄・餓鬼・畜生のない世界をつくる」という願いと共通します。戦争は「地獄」、欠乏は「餓鬼」、専制や隷従で主体性を奪われた存在は「畜生」です。人間は、他のいのちと同じいのちを生きているのですから、他のいのちと共に生きたいという根元的な願いを持っています。
その「いのちの願い」を信頼する。「諸国民のいのちの願い」に信頼して世界平和と安全保障を図るという憲法の理念は、真宗と共通します。
 今国会に提出された「安保法制」は「平和」の名のもとで武力を行使するということです。これは、戦争・「地獄」を求める国を目指すものです。
 こうした話をお寺でご高齢の方にすると、よく分かっていただけます。「お経には『地獄・餓鬼・畜生をなくしたい』と書いてあります。日本国憲法にも『地獄・餓鬼・畜生のない世界をつくりたい』と書いてあります。二つは重なります」というと、頷いて下さいます。
 あるお寺での経験ですが、憲法9条の大切さをお話ししたら、一番前で聞いておられた高齢の方が「わたしも大賛成、9条は変えてはいけません。憲法は大事です。」と言われました。その方は総代さんで地元の有力者、地方議員をやってきたバリバリの保守の方です。人間としての生き方を語る言葉が必要ではないでしょうか。
 「安保法制」で日米が軍事的に一体化し、その軍事力に頼るのではなく、憲法の理想とする平和構築の努力、非軍事で積極的に世界平和に貢献していく道筋を示していくことが重要だと思います。
 私は、講演で「世界のあらゆる問題が真宗念仏者の課題です」とお話しします。皆さん、チョコレートを食べますね。あれは発展途上国の児童労働で収穫されたカカオ豆でつくられています。私たちはそれを食べるという形で途上国の子供たちと関わっている。そういう自己のあり方を問わずに個人生活だけを問題にしても、虚しいだけです。
 世界中のあらゆる出来事は自分と関わっている。これが仏教の「縁起」の考え方です。
 何をどう語るかで自分自身が問われてきます。お話をすることで自分自身が問い直されます。
 戦後70年の追弔法要などで講演の機会が増えました。4月は沖縄別院で講演しました。非常に重かったですね。沖縄の方たちの前で何が話せるのかと。それで予習のために1月に辺野古・高江の現地を訪ねてきました。
 基地問題は我々の問題、本土の問題です。本土の人間が自分たちの問題だと気付かないといけません。私たちも沖縄のたたかいに学んで非暴力不服従で連帯していくことが大事です。

危険な「安保法制」

 「安保法制」が通ればいずれ自衛隊員が殺し、殺されることになるでしょう。
 品川正治さんがいわれましたが、戦争で儲けようとする人がいる。いまの流れを根底で動かしているのは軍産複合体。そういうことではないかと思います。
 安倍首相の個人的な思いもあるでしょうがそれだけではない。愛知県には軍需産業があります。これにどう対応していくのか。県内の私たちの課題です。

ひとり一人が考えて行動することの大切さ

 ひとり一人が、自分の立脚点に立ち、情報を集める。自分の頭で判断し、自分に何ができるか考えて、行動する。考えるだけでなく行動する。ネットで発信する。外へ出て集会やデモに参加する。デモに行く人が今の十倍になったらずいぶん変わると思います。名古屋でも2万人が栄に集まれば、かなり違うと思います。
 周りでも「何もしないわけにはいかない」という人が増えてきています。世論調査では安保法制反対の人が50%を超えています。
 その人たちが動き出すと大きいです。デモに行くことは特殊なことではありません。ドイツでは当たり前、裁判官も当たり前に行きます。
 今、日本の民主主義が試されています。「おまかせ」ではなく主権者としての意識をもつことです。世の中は国民の力が合わさって動くのですから。
 ひとり一人が「一億人分の一人」の力を出す。
 一人が動くことから世の中が変わります。

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