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【15.12.21】憲法を守るのは国民の力―連合政府 小異を捨てて大同の反戦・平和の一点で

  丹羽 日出夫さん

1943年満洲生まれ 京都大学卒、元裁判官。現在、一宮市で三ツ井ハレルヤ法律事務所を開設。「街の弁護士」として弁護士活動。「=戦争法廃止=青年を海外の戦場に送らない一宮の会」呼びかけ人。

あるべき姿にと

 裁判官を目指した一つの理由は、経済的・文化的に虐げられている人たちに、できるだけ法の光を当てて、お役に立ちたいということでした。  
 弁護士になるのが自分の信念、理想に近いのですが、修習生時代に青年法律家協会の会員は裁判官になれないという事件が起こり、このような不平等がまかり通ってはいけない、裁判官になって司法のあるべき姿に戻したいとの思いでした。
 38年余りの裁判官生活で、刑事裁判で十件ほどの無罪判決を出しました。公職選挙法違反事件では違憲判決も出しました。いずれの判決も自分の信念、良心にもとづき判断した結果で、今でも一点の悔いはなく晴れ晴れした心意気です。
 非嫡出子の相続分は嫡出子の2分の1に制限されていました。私はこれについて、10年前に憲法違反の判決を出しました。当時は最高裁にたてつく「変わった裁判官」だと特異な目で見られ、お付き合いを避けられた人もいました。今から2年ぐらい前になって、やっと最高裁で憲法違反の判断が出たとたん、下級審は雪崩をうったように違憲判決に変わりました。

弁護士になって

 司法は制度上は独立していることになっています。しかし、本当に独立しているのでしょうか。一票の格差について、違憲か合憲かのどちらかです。違憲状態という判決は、憲法が予想しているのか。裁判所は苦渋の選択していると言えるのかもしれませんが、ある意味では、「逃げている」と国民は思っているのではないでしょうか。わたしは、開かれた裁判をめざして、判事室にも国民のみなさんが気軽に入ってこられ、遠慮なく話をしてくださいと言ってきましたが、現状は法廷以外は開かずの門で一般の人はほとんど入れません。
 私は、このように裁判官時代には、みなさんの話を聞いているつもりでしたが、弁護士になってみて、まだまだ国民の声を十分に分かっていなかったのではないかと思います。もっと国民の声をじっくりきいていたら、もっと真実に迫った無罪の判決が出たのではないかと反省なきにしもあらずです。
 例えば、裁判に勝つか負けるか、刑務所にはいるかはいらないかという大事な裁判に、お酒を飲んで法廷に来る人がいます。その人にとっては裁判所は異常に緊張するんですね。お酒でも一杯引っ掛けないと落ち着かない気持ちになるのです。また子どもが非行をして、親として、裁判所に情状証人として呼び出しを受ける。しかし、親は、非正規、契約社員で一日たりとも休むと職を失ってしまう、子どもの裁判にも行けない。面会にも行けない。裁判官はそういう事情もわからず、子の養育、教育の放任だと判断してしまう。
 弁護士になると、こうした世情や人情の機微が分かってくるのです。裁判官はもっと国民の声を聞かなければいけないです。だから、アメリカやイギリスでは裁判官は必ず弁護士から採用します。弁護士は、少なくとも庶民と膝を付き合わせて話し合いします。裁判官は雲上の人であってはいけません。を

真理の探究

 裁判官時代、「無罪や憲法違反を勇気をもって書かれましたね。」と言われる方がありますが、私は全然勇気などありません。真理を淡々として追究していく、その先に結論があるのです。真理に対して正直でありたいだけです。
 いつも申し上げていることは、裁判官として、他人と比較して給料や任地・出世など余計なことを考えず、「初心を貫く」ということです。裁判官は憲法と真理と良心の前にひざまずくことです。

憲法を守る国民の力

 私の見解は、安保法制は、憲法違反です。戦争やテロには巻き込まれる危険が大です。
 自分の子どもや孫を殺されるのもいやですが、殺すのも嫌です。絶対に反対しないといけないと思っています。
 「裁判で」という人がありますが、裁判官が憲法を守ってくれるというのは幻想です。裁判官は、一票の格差の問題でも憲法違反か違反でないのかはっきりすればいいのに、どっちにもいい顔をして「違憲状態」という体質です。
 憲法を守るのは国民の力です。ひとりプラスひとりプラスαで強大な力になると思います。だからこそ、安保法制に反対する私たちは、この運動に参加し、拡げなければならない。私も地域でやっていますが、難しい理論闘争をしなくてもいいけれど、裁判官や学者に丸投げしていたらダメです。その視点が大事です。
 小異を捨て大同の反戦・平和の一点での国民連合政府、これしかありません。その一点に絞ってやって欲しいと思っています。私たちは次世代と歴史に責任を持っています。

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