【19.11.10】津田康裕(名古屋市職員組合執行委員長/革新愛知の会代表世話人)

 7年前の12月、第2次安倍政権が発足して真っ先にしたことは、生活保護基準の引き下げである。最大10%、平均6・5%の引き下げを早々と翌1月に決めてしまった。厚労省の審議会の意見は聞かず、根拠とした物価指数は通常とは異なる方法で計算をしたものだった。正当性や科学性が問われる生活保護基準を「忖度」と偽装で切り下げた。安倍政権が真っ先にかみ砕こうとしたのは、憲法25条であった。
 もう黙ってはおられないと国・自治体を相手取って裁判に立ち上がった原告は全国1022人。歴史的な裁判が始まっている。名古屋では10月に3日間かけて証人尋問が行われた。必死に訴える原告、国に怒る専門家の姿は目に焼き付いて離れない。
 この裁判は「いのちのとりで」裁判と名づけられている。憲法はまさに「いのちのとりで」で「とりで」を守るのは国民の世論の力である。

このページをシェア