【06.10.05】国民投票法案  この危険な企み

自由法曹団 愛知支部事務局長  伊藤 勤也


先の通常国会で、与党及び民主党が改憲のための法律=国民投票法案をそろって提出した。幸いにして国民の猛烈な反撃によって成立には至らなかったが、継続審議とされ今回の臨時国会でも引き続き審議が行われることが予想される。ここでもう一度、国民投票法案がなぜ問題なのか、改めて指摘しておくことは、臨時国会での闘いにとって重要な意味を持つであろう。

そもそもこの法律は、現在与党や民主党が企んでいる内容の改憲を実現するための手段的な法律、「改憲準備法」であって、中立的な手続法ではないという点を、声を大にして言わなければならない。

それを前提として今回の法律案そのものの問題点を考えると、発議から投票までの期間が短いこと、改憲の成立が有効投票総数の過半数とされていること、公務員や教員の投票運動が制限されていることなどすでに指摘されている点と並んで重大なのは、投票運動が圧倒的に議会多数派に有利に作られていることである。すなわち、国民投票広報の作成・配付や、国費(税金)によるテレビ・新聞などを使っての宣伝も全て議席に比例して時間や紙面が割り当てられることとされている。これでは、国会内に多数の議席を有する改憲発議派が、国民投票においても、税金を使って圧倒的に有利な立場を確保することになることは火を見るより明らかである。

まだあまり知られていないこの点を急速に国民の間に広げて、この希代の悪法の成立を何としても阻止しなければならない。

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