愛労連・労働相談センター所長 阿部精六さん
今度の年末ほど異常な状況はありません。一方で労働者が変化してきていることも大きな特徴です。
08年11月は、92件のうち61件が解雇、派遣請負など非正規の労働者の相談です。正規労働者の相談も増え正規、非正規を問わず労働者の現状が非常に厳しいことが見えてきます。愛労連の相談窓口では、、08年10月で一昨年の一年の相談件数を81件超えました。この数は、新規だけです。相談員も増やしているのですが、電話は、なりっぱなしです。
相談をした人が職場の仲間に要求を話し、相談件数が増え、広がっています。
相談の92件のうち9件が労働組合を作って頑張りたいという嬉しい事も広がっています。
運動の方向が見え始めている労働者が生まれています。要求と運動で制度改正へ大きなたたかいを進めていきましょう。
この年末年始に派遣切りなどで職を失う人々は、新聞報道で見る数の何十倍以上、どこまで広がるのかわからない状況です。ようやく、マスコミがきちんと報道してくれるようになったり、心ある経営者たちも現れてきているわけですから、もっともっとアンテナを広げて皆さんとも協力をしながら、大きなうねりにしていきたいと思います。
国や企業は働く人全てを大切にしてほしい!トヨタ自動車期間工浜本一哉(28歳・仮名)
私はトヨタ自動車のある工場で2年半、期間社員として勤務しています。九州出身ですが、そちらではまとまった仕事がありません。私と同じ組に九州出身者は結構多く4人に1人はいます。トヨタ自動車は7月以来、私たちのような期間工を切り始めました。先月には同じ組で5人が雇い止めになり、仲のよかった三河出身の友達も否応なく切られました。
みんな仕事を続けたかった人ばかりです。切られた人の中には、実家で零細企業を営んでいて、期間工入社以来実家に毎月10万円の仕送りをして、両親の生活を助けて来た人、子どもが3人学校に通う50歳のお父さんも2月には雇い止めと通告されています。その後の生活を考えるとあまりにも理不尽です。
海外では車が売れてないと言いますが、国内では私たちのような切られゆく存在は、車さえ所有していません。
私たちをきちんと正社員にして、車のない私たち若者にこそ、販売のシェアを求めてみてはどうかと言いたくなります。次の春までに合わせて11人の仲間全員が車も持てないで、トヨタ自動車を去っていきます。
もっともっと国や企業は働く人全てを大切にしていって欲しいです!
人材派遣の恐怖と今年の現状全労連・全国一般労組愛知地方本部あいち支部執行委員川田 清治(33歳)
年末に入り今年はトヨタを筆頭に製造業の大規模かつ無差別的な派遣切りという雇用破壊を製造業中心に強行し、住み込みで派遣や請負で出稼ぎに来た人々が何の前ぶれもなく、年の瀬に住居を突然失い路頭に迷う大問題になっています。
報道によると今後、自動車業界主要12社が今年度中に派遣工など1万4千人規模で削減予定、愛知県は、4104人と突出。トヨタが業績悪化を理由に契約延長を認めなかった期間工に、契約満了後も最長一ヶ月は会社の寮に住み続けることを認めた事がわかった。この報道は、トヨタと直接雇用契約の期間工が対象であり、多くの下請け企業での派遣労働者や派遣で同社に働いていた人々は真っ先に派遣切りという一種の遭難に会い、現在名古屋駅西口周辺はホームレスが集う場と化しており、緊急の保護対策が急務であると感じています。
私が初めて派遣社員として仕事を始めたのは5年前です。幾度となく営業や過酷な肉体労働を経た後、07年年末に心身ともボロボロになり全く就業できぬ体となりました。「病欠したい。」といっても拉致されるように現場に連れて行かれます。
労働者派遣法は、究極の人権侵害であり、使い捨て潰しの残酷差別労働の元凶であると思います。派遣という世界に迷い込んだら、竜巻に吸い込まれたのと同様に貧困と格差社会から脱出することはきわめて困難だと思います。私は、08年4月に労組に加盟しましたが愛労連や加盟・関係労組の皆さんに支えられながら生かされていると感謝の念でいっぱいです。
いち早く県内で労働者派遣法廃案と正規雇用化拡大運動を年明けから開始しようではありませんか。個人の力では及びませんが、団体運動が世論を動かす要です。ご一緒に頑張りましょう。