名空港から定期便が消えたら「県営自衛隊空港」になってしまう!?
経営再建中の日本航空は、名古屋空港に乗り入れている国内9路線を来春までに全廃すると、4月に発表しました。
これに衝撃を受けた愛知県と小牧・春日井両市および豊山町は、日航に対し計画の撤回を求めるとともに、政府に対しても日航に路線維持を働きかけるように申し入れました。
●路線維持の要請に日航は難色
しかし日航の意志は固く、計画の撤回は難しい状況です。さらに、9路線の赤字額が年額15億円に及ぶことが判明すると、当初税制支援を申し出ていた愛知県は、巨額すぎて県財政では支援しきれないと、あっさり申し出を撤回するに至りました。また、ほかの航空会社が路線を開設する動きもなく、打開の見通しは立っていません。
定期便がなくなれば、自衛隊機の利用が活発になることでしょう。飛行訓練密度が高められたり、空中給油機がさらに増配備されるなど、戦争能力の増強が進む可能性が大きくなります。基地の強化は、周辺住民にとってはゆゆしい事態です。
●名空港の収入は自衛隊依存
名古屋空港は経営面からも自衛隊頼みに傾いています。5年前に国際線すべてと主要国内線が中部国際空港に移転して以来、名古屋空港はそれまでの黒字経営から、一転して赤字経営になりました。2009年度にやっと黒字に戻りましたが、理由は自衛隊機の離着陸が増加したためです。年間離着陸料収入の65%が自衛隊機となっています。定期便が廃止されれば、空港収入の大部分の自衛隊に頼ることになり「県営自衛隊空港」と化すことは必至です。
●県は滑走路を持ち続けられるか?
その結果どうなるでしょうか。財政難の愛知県が空港をもっている理由がなくなり、滑走路を自衛隊に売り払えということになりかねません。まさに憲法九条に背く、究極の「基地強化」ではありませんか。
これには、さらに次の最悪のシナリオが隠れています。米軍の利用です。民主党政府は、沖縄の基地負担を全国に分担させると言っています。もし名古屋空港の滑走路が自衛隊のものになれば、政府が小牧基地を米軍に提供する可能性が出てきます。米軍基地となった場合、その騒音は自衛隊の比ではないでしょう。