「自衛隊」加憲で 9条空文化の危惧
服部 彰文さん
弥富市長。
1948年10月生まれ。
明治大学商学部卒業、ユニー株式会社 ユーストアで勤務、2007年弥富市長就任
平和への原点
私の叔父は広島で原爆の被害に遭っています。叔父は部屋の中で爆風にあおられて体中にガラスの破片が突き刺さりました。しかし、一命を取り留めまして戦後、長く生かさせていただきました。それでもガラスの破片が肉を持って出てくるわけです。叔父はその体を見せて「戦争はこういうことなんだ」と言いました。考えられないことが一瞬にして起こったのです。
叔父の身体の傷は、小学生の私の脳裏に生々しく刻まれ、戦争は絶対にしてはいけないとの思いに繋がっています。
弥富市は「平和都市宣言」都市です。毎年「平和学習」として、中学生2年生全員が千羽鶴をもって広島に行きます。今年で7年目、一泊二日で多くの経費もかかるのですが、市民、議会のみなさんのご理解もいただいて毎年派遣しています。事前学習として戦争体験者に話を聞くなど1年生の時から計画的に勉強しています。子どもたちの平和への思いが広がってくれることを期待しています。
9条改憲はあってはならない
戦後72年、国土が焼き尽くされ、350万にも及ぶ尊い命があの戦争でなくなってしまったのです。
日本国憲法、特に憲法9条、不戦の誓いがあるからこそ戦後の日本の民主主義が守られ育てられ、日本は平和国家として現在に至っていると強く思います。憲法9条の改憲はあってはならない、憲法9条は守らなければならないと考えます。また、三原則である主権在民、人間尊重、平和主義、これは戦後日本の不変の価値です。 議会での答弁でも言いましたが、最終的には憲法改正は国民の間でしっかり議論をしなければならないと思います。やはり国民の正しい判断はこれからも生かされていかないといけないと思っています。平和憲法をしっかり守らないといけない。
自衛隊が昭和29年に新たに編成され、将来的には武器を持って軍隊化へ時の政府はもっていきたかったのでしょう。自衛隊を軍隊化していこうという狙いがあったと思いますが、国民はそうではなかったと思います。
日本の戦後の復興は、勤勉な国民と経済発展のなかで進んできたと思います。戦争する組織ということでやっていたら、今の日本はなかったと思います。
「加憲」への危惧
「日米安全保障条約」があるから日本は守られている、あるいは、陸・海・空軍の自衛隊があるから日本が守られているといわれる人もいるのですが、まったく憲法の解釈とは次元の違う話ではないかと思います。
憲法9条に自衛隊の存在と役割を明記すれば9条の第二項、戦力の不保持、交戦権ということ事自体が空文化になり、骨抜きになってしまう。
憲法9条に、自衛隊の存在と役割を加憲することにおいて、憲法の改正、イコール戦争できる国ということになりかねません。9条の整合性はまったくなくなります。
国家のあり方として
安倍政権は2014年に、集団的自衛権行使容認を閣議決定しました。集団的自衛権は、「後方から応援するから大丈夫」と言っていますが、戦争はそんなわけにいかないです。そこへいったら戦わざるをえないというのが現実です。
これだけ強権的に国民を無視してきめることはない。「安保法制」も7割近い方が反対だということは客観的に見ても圧倒的に国民の声です。それを、政府与党の「力の論理」で物事が決まっていくということが心配です。
防衛大臣が自衛隊の文書を隠そうとしているのは南スーダンが戦争地だからです。閣議決定=俺たちだけで決める。そんなことは国家のあり方としてはまちがっているとおもいます。
野党の結集はあるべき
安倍政権の支持率30%は危険状態です。
モリ・カケ問題は、野党のみなさんに追及してもらいたいし、安倍さんの説明責任が求められている。多くの国民がおかしいと思いっている。支持率は「総理が信用できない」ということにつながっているのでしょうね。
野党の結集はあるべきではないかと思います。穏健派、リベラル、野党共闘でないと受け皿ができない。もっと、きちんと話し合って、政策論議をして詰めていってほしい。いまの安倍政権に対抗していくためには大義ある野党の結集が求められています。
幅広い意見を反映させて
「地方分権」、「地方創生」と地方が元気にならないと日本は元気にならないとおっしゃるけど判断を地方自治体に任せていただけることはまったく少ない。
社会保障、医療、介護福祉という民生費の国の予算が縮小され自治体が疲弊しています。市民の要望になかなか応えられないというのはどこの自治体でも起こっています。
こうしたなかで行政運営についてもみなさんの幅広い意見、声を反映させながら、「みんなでつくるきらめく弥富」をモットーに市民の皆さんとともに歩んでいきたいです。