【21.08.10】大野克良(愛知金融革新懇 事務室長)

三方よしの銀行めざして

 昨年、十数年ぶりに金融革新懇を再開しました。コロナ禍で労働者・国民の暮らしがますます大変になっています。こうした中で地域経済を支える経済・金融のあり方が重要になっています。
 政府・日銀のマイナス金利政策の下で銀行は手数料収入にたよる経営に追い込まれ、市民からもそこに働く労働者からも銀行はこれでよいのか、との疑問も出されています。政府の低金利政策で窮地に追い込まれたのに「地銀は多すぎる」「赤字になるような地銀はまじめにやっていない」(菅発言)。合併や経費削減(人件費など)したところには+0・1%金利上乗せ支援するとしています。 「生き残るために」大幅な店舗・従業員削減に踏み出し、市民にはますます利用しづらくなっています。
 中小企業金融を担う地方銀行にとって、本来の機能を強化するためには一定の店舗網展開と人員配置が必要であり経費がかかる。収益性が低いことをもって経営努力を怠っているいう評価は、株主視点の評価と言える。これでは地域内資金循環の衰退となる。「フェアトレード」を地域経済に適用するなら、少々割高でも生産者(この場合は銀行)の採算がとれて従業員の雇用も確保できるなら地域住民からも受け入れられるのではないか。
 今回七月に「私たちの暮らしと銀行」という演題で静岡大学鳥畑与一先生に講演していただきました。金融政策の問題点と市民に役立つ銀行について展望のある話をしていただきました。
 三方よし[利用者によし、銀行・従業員によし・社会にもよし]の銀行めざして社会に役に立つよう政策提言と交流を続けていきたいと思います。

このページをシェア