名古屋北部青年ユニオン・原田芳裕
ここ数年、ハラスメントに関する裁判や事件が事欠かない。東北のある村では、村長が提訴され、不信任案が可決され、議会が解散という状況になり、大阪では民間登用された大阪市教育長が、パワハラをしていたということで辞任に追い込まれた。
ここまで、パワハラセクハラが社会問題化し、ハラスメント防止対策を実施する企業が増えてきている現状の中でも、個々に目を向ければ、そこまでの意識の高まりは見せていないように感じる。「カタチダケ」の対策がいかに多いことか。
先日の大阪の有名な水族館【海遊館】のセクハラ訴訟は見事だった。雇用側の見事なまでのセクハラ対策が、セクハラ加害者たちの(重すぎる懲戒処分だ!)という言い分を封じ込めた。最高裁までいったこの訴訟、過程の中で【海遊館】が積極的にセクハラ防止対策を行い、研修もしていたが、「あんなことを守っていたら女の子と何も話せないよ」などと言って、無視していたことなども明らかになった。
仕事柄、多くの経営者に接するが、この時勢でも「ハラスメント防止なんて必要無い!」と認識している人は多い。うちは少人数だからパワハラなんて起こらないし・・、別のことにお金かけたいし・・。あくまでも、他人事なのだ。
実は、この【海遊館】のセクハラ加害者と、ハラスメント防止意識の低い経営者は似ている。安全配慮義務を無視するか、怠るかの違いはあるにしても、「会社の職場環境をより良くしていこう」という意識が薄いのは共通している。そして、いつのまにか、大きな経営リスクと化してしまうのだ。