青木陽子さん(作家・代表世話人)
小林多喜二が虐殺された二月がまたやってくる。
今年は没後七十五年、各地で講演会やさまざまなイベントの企画も多い。
多喜二の書いた「蟹工船」がマンガにもなり、原作も多くの青年たちに読まれていると聞いた。書かれているのは、ワーキングプアと言われる自分たちと同じだと、青年たちが、戦前の絶対主義天皇制下の重労働と搾取にあえぐ労働者の姿を自分たちに重ね合わせている、と。
「しんぶん赤旗」で不破哲三氏が、多喜二は時代をとらえる規模での、戦争と軍国主義に対する大長編の構想を持っていたと語っている。もし多喜二が生きていたら、どんなに豊かな作品を提示してくれたことだろう。
戦前と酷似していると言われるいま、二度と多喜二のような犠牲者を生まないために自分にできることを考え始めている。(青木陽子・作家・代表世話人)