【17.06.10】青木 陽子(作家/革新・愛知の会代表世話人)

  アナザー・ファクト、オルタナティブ・ファクトと、少し前なら、気は確かかと眉を顰められたであろう言葉が、いつの間にか市民権を得ているような様相が気になる。「嘘も百遍」にも近い「馴れ」の怖さ。
 私たちはかつての「大本営発表」の愚に充分懲りていた筈。政治家は戦後も国民に嘘をつき続けてきたけれど、とにもかくにもそれは見破られることがないよう周到にガードを施した上での嘘だった。だから何かの拍子にそれが明るみに出た時、国民は真正面から怒りをぶつけ、政治家は政治生命を縮めた。
 だが今は見破られても平然と開き直る。関与はしても「忖度はなかった」。証人喚問をしない理由は「理由がないから」。何が悪いと言わんばかりの居直り。真実など何の価値もないかのようだ。どうやら私たちは侮られている。人たるもの、本気で反撃を開始しなくては。

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