高野 史枝(フリーライター)
今年のアメリカ・アカデミー賞の発表を見て「あらら…」と思った人も多いはず。何しろ作品賞に選ばれたのが『ディパーテッド』(マーティン・スコセッシ監督)だったのだから。これは香港映画『インファナル・アフェア』のそのまんまリメイク作品。しかも元の香港作品の方がずっと出来がいい・・・というシロモノなのだ。作品賞はどう考えても『硫黄島からの手紙』でしょ。反戦映画みたいでイヤだったのかな。
何しろ最近のハリウッドはだらしない。イラク進攻5年経ってもそれをテーマにした劇映画は全然でてこないし、印象的なドキュメンタリーも作られてないのだ。
イギリス映画『グアンタナモ、僕達の見た真実』 (マイケル・ウィンターボトム監督)は、3人のごく普通の青年がテロリストの容疑をかけられ、2年以上も米軍基地グアンタナモに拘束され虐待、拷問を受けたという事実に基づいて作られた映画。
この映画一作でアカデミー賞全体をなぎ倒すほどの迫力を感じてしまった。
*名古屋駅 シルバー劇場で公開中