かなれ 佳織(2007年 日本民主主義文学新人賞受賞)
はじめまして。わたしは、駆け出しの書き手です。若いとは言えないのに、このたび「日本民主主義文学会」の新人賞をいただいて、今、「なるほど、新人、賞ってほんとに新人にもらえるんだ・・・・」と、自分を納得させているところです。といいますのは、少し長い文章を書き始めたのは三年前の秋からで、わたしは文字通りの新人だからです。「今からでは、遅いんじゃあないだろうか?」と、迷いに迷い、「あいち赤旗文化セミナー・文章教室」のドアを押したのが書くきっかけでした。
そんなこともあって、この頃つくづく思うのは、やってみたいことを始めるのに自分から期限を設けてはいけない、ということです。
ですが、本音を言うと、歌でも絵でも、俳句でも、自分にとってほとんど未知の世界に身をおくことは、なかなか勇気のいることですよね。わたしは、稚拙な文をほかの方々と比べられたら恥ずかしい、という理由で迷いました。でもこれって、小さいときから何かとランクづけされ、また、芸術、文化にお金がかかり、一本の朝顔の苗を植えるような気安さで芝居を観にいけないという、この国の有り様が、体に染みついた結果だと思うのです。
ほかの世界も覗いて見たいという大切な心を閉じこめ鍵をかけるのは、本当に勿体ない。もし、あのとき、「文章教室」のドアの前で引き返していたら、今も「いつか、書きたい」と願い続けるだけだったでしょう。ドアの向こうにある、出会い、を信じてよかったと思います。