【07.11.10】文化のすすめ 増田勝さん(日本民主主義文学会会員・同名古屋支部員)

劇団 「秋日狂乱」を観て

久しぶりに面白い芝居を観た。今という時代を反映して、とても深刻な内容なのに観ていて随所で笑いがこみあげてきたし、そのセリフに対し言われた方が何と応えるだろうか――とかたずをのんで見守った。そんなスリリングな緊張感も味わいながら魅入っていた。

 舞台は、流行語ともなった「定年離婚」を全面に押し出しながら、それだけにとどまらず親子の関係、姉弟の関係などにも問題が及び展開していった。

 そうした展開のなかで、女性を「女」として見る偏見(思想性)や、人間として子どもを産むことの本質的な問題にも触れながら、それらは芝居のうえのこととしてではなく、客席に向かって「あんたの問題なんだぞ」と突きつけているような感じをうけた。だから、笑いつつも緊張し、自分自身も舞台と一体となって問答していた。そこが面白かった。この続編を「演集」の総意を集めて創作され上演してほしいとも思った。

 九十歳だという若尾隆子さんの元気さぶりや、ベテランの村瀬きく子さん、沢田靖一さんの演技にも惹かれるものがあった。

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