【11.02.10】多数派めざして 本田 直子 (三菱電機派遣切りを許さない裁判 勝たせる会事務局長)

「原告たちが心から笑える日を願って」

 
 2009年末に解雇予告を受け、心中まで考えて迎えた新年早々解雇された三菱電機の派遣労働者3名が、裁判提訴に踏み切ってから2年を迎える。労働局に偽装請負を告発し、三菱電機に団体交渉を申し入れても進展がない中で「このまま,泣き寝入りは出来ない」「労働者を物のように扱う雇用は許せない」との思いだけで、提訴に踏み切った原告たち。

 現実に裁判闘争が始まると、大きな渦に飲み込まれるように行動を求められ、戸惑い、悩み、不安にかられる毎日となった。会社側の証拠書類、答弁書のうそに涙し、心を傷つけられた。三菱電機という大企業にたった3人で挑む心細さに、心底から寄り添えないもどかしさを感じつつ、弁護団や「勝たせる会」は書面の準備や勝利めざし署名や会員拡大、ニュースの発行に追われてきた。

 2010年12月20日におこなわれた証人尋問が、この間の様々な思いを吹き払ってくれた。極度の緊張のなか「本当のことをきちんといおう、泣いてはいけない」と自分に言い聞かせ証人台に立ったTさんは、解雇されたときの気持ちを聞かれると、娘との心中を考えた当時を思い出して思わず涙した(傍聴席ももらい泣き)。反対尋問で「請負会社の看板は、どの位置に掲げてあったか」と見取り図を示して聞く弁護士に会社側証人は答えられず絶句。「あなた、責任者なのに答えられないのか」と迫る弁護士の気迫に、「正直あそこまでやってくれるとは思っていなかった」とTさんは後に語った。

 労働局では認定できなかった偽装請負が明らかになったことに、胸の晴れる思いをした原告たちが心から笑える日を願って、戦いはまだこれからが正念場だ。
 2月9日(水)、28日(月)にも10時~17時まで証人尋問が行なわれる。

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