中川武夫さん-(中部国際空港・関連開発問題を考えるネットワーク(中空ネット)代表世話人)
昨年だったか、知多半島のある漁協の組合長さんを訪問し、お話を聞いたことがあります。「中部空港の建設を含め、伊勢湾の環境悪化が進み、愛知県の漁業は深刻な事態になっている。しかし、漁民の数は激減しており、トヨタの1つの工場の従業員数の方が多い。県政は、少数の私たち漁民の方には向いてくれない。子どもにも後は継がせない。」と言った話でした。
私たち「中空ネット」は、「ハブ空港」の虚構への異議から始まり、今は関連開発や第2滑走路建設の推進、不要な西知多道路建設、伊勢湾の環境のこれ以上の悪化を食い止め、愛知の漁業を守る取り組みを、10年以上も続けています。空港ができたとき、会は役割を終えたので、解散しようという話もありました。しかし、解散はしませんでした。私たちの取り組みは、建設されたら負け、おしまい、ではありません。空港が作られようが、正しいことはどこまでも正当に主張しつづけることが最後に多数派をつくり、成果を挙げられると考えたからです。
空港は作られたが、私たちの指摘通り、現在は小牧に空港がった時より利用者が落ち込んでおり、推進側からも今や「ハブ空港」の言葉は消え去りました。私たちの指摘が正しくとも、今はまだ多数派にはなれていないのです。
愛知県は、漁業も大事と口では言いますが、現実は漁協の組合長さんの言葉が現実を物語っています。組合長さん、あきらめたら負けなのです。あきらめないで、気長に私たちと一緒に、現状を訴え続けませんか?
空港が開港し、前島は賑わいの新しい街が出現しているはずでした。現実はご覧のとおりです。