【17.05.21】シンポジウム―安倍政治は許せない!「市民と野党」の共闘を!(Part.1)

講演:山口二郎さん(法政大学教授・市民連合)

 
5月21日午後、革新・愛知の会は中区役所ホールで集会を開催し250人が参加。田辺準也代表世話人の「安倍の暴走政治のもと市民と野党の共闘を。力をあわせ来るべき総選挙でなんとしても勝利を」と開会あいさつのあと市民連合みえの高山進さん、愛知での取り組みの交流、市民連合から山口二郎さんの講演に参加者から「勇気がでた」「なんとしても安倍退陣を」など感想が寄せられました。                                
 (記事は編集部まとめ)

政治危機と私たちの選択ー憲法と民主主義を守る大結集を

 
アベ化する世界
 民主政治の劣化現象がすすんでいる。私はアベ化と呼んでいる。自己愛の強い幼児的リーダーが権力をほしいままに虚言、デマ、嘘をこれほどまでにつく総理大臣はいなかった。戦争の出来る国になった日本。事実を知らせない、メディア抑圧と情報の隠匿。情緒感情に訴え、「結婚しろ、子どもをつくれ、活躍しろ」と画一化道徳を押しつける。

説明責任の消失とかこつけの政治
 南スーダン自衛隊派遣の真の狙いは、自衛隊海外で武力行使を可能にすること。南スーダンにかこつける手法はアベ政治を説明するキーワード。共謀罪はテロ対策というのはかこつけ。

国家の私物化
 国家が私物化されている。森友学園、加計学園の本質はお友だち優遇政治。近代国家における法の下の平等の観念を否定。官僚は自民党の奉仕者になり、公共の強調と愛国心は表裏一体に進む。議会制の形骸化、言論の形骸化が進んでいる。

議会政治の瓦解

 改憲発言について「読売新聞を読め」と答弁した。
安倍首相は、日本の憲政史上に残る最悪暴言だ。法務委員会で30時間討議をしたら審議は尽くせたと採決、国会はもはや多数党が賛成多数で法案を可決する自動販売機になっている。
 憲法の理念は、十分に達成されているとは言えない。しかし、建前を否定することは人間の歴史、民主主義を否定することだ。たたかいによって女性参政権、黒人の民権法など実現した。
 民主主義の歴史は建前を実現すべくたたかってきた過程、悪しき現実を一歩でも変えていこうというときにテコの視点になるのが理念や建前である。悪しき現実を喜ぶ人が建前を否定。

日本の危機的現状、言葉の崩壊
 南スーダンは「戦闘」ではなく「衝突」、オスプレイは「墜落」のではなく「不時着大破」した、テロ対策=共謀罪というように言葉の崩壊だ。 これに歯止めをかけるのは選挙で国民の意思表示と権力者の更迭である。レッドカードをつきつけよう。

社会の危機と自由からの逃走
 人間の生命や個人の尊厳を侮蔑しヘイトスピーチが飛び交っている。孤立がイヤで人と繋がりたいと同調、忖度し自由をみずから手放す。今日の息苦しい社会をつくっている。
 私たちは自由の担い手として行動、発言する気概が問われている。

支持率はなぜ下がらないのか
 内閣支持率は高い。中国の軍事的膨張、尖閣諸島での衝突、北朝鮮核開発の恐怖の中で強いリーダをもちたい。嫌な現実から目をそらす気分が人々にある。
 一月の内閣府の調査では社会満足度が増えてきている。危機を見ようとしない、日本はまだまし、現実から逃避している。沖縄や福島を視野の外におく。

政治転換の突破口

 突破口をどうはかるのか。希望を語りたい。
 三重の経験も愛知の各地の取り組みも勇気づけられた。
 新聞の世論調査で安倍の政策を支持15%、野党に魅力がなかった71%、この数字に希望をもつ。野党に魅力がないのはあたりまえ、魅力がないから「野党」。逆にいうと安倍さんに魅力があって支持があるわけではない。野党が魅力あるものをしめせば現状転換していくことができるはず。

野党結集の効果

 32の一人区で野党統一候補をたて11選挙区で勝った。とりわけ冷酷な政治の現場の沖縄、福島で人々は野党を勝たせた。東北、甲信越8選挙区での勝利は大きい。旧来の枠を超え良識保守、中道、革新が幅広く結集。
 民進支持層は9割野党統一候補に投票した。「共産党と組んだら保守的支持層がにげる」は間違い。無党派が野党統一候補に投票している。

勝利の方程式
 勝つための条件がみえてきた。争点の明確化、候補者の一本化だ。多くの市民が投票にいく。ここに勝利の方程式がある。
 新潟県知事選挙では民進党が自主投票、連合組織が自民党を押すなかで無党派層の3分の2が米山さんに投票した。野党を固め無党派層の過半数を取り、自民の一部を切り崩す、これができれば勝てる。
 民進党の現状を心配されるところもあるが、蓮舫さん、野田さんとも野党共闘はやるとはっきり言っている。

日本版ポピュリズム新党という悪夢
 東京の小池都民ファースト新党は、改憲派だが野党のふりをして無党派層、安倍政治批判の票を取る可能性がある。これはまずい。 究極の理想より2020年代を見据えて政策を話し合えば十分まとまる。原発問題でも再生可能エネルギーをと前向きな改革政策をだしていけば、労組でも聞く耳はある。さらに福祉国家、女性の選択夫婦別姓、個人の多様性をと安倍政治と対決の構造をつくる。決してむつかしいことではない。

安倍改憲発言
 憲法9条改憲はおろかなこと、日本は大都市への過度な集中、日本海沿岸に多数の原発をつくりミサイル数発で滅ぼせる国の構造をつくってしまった。だから日本は戦争はできない。戦争しないことが唯一の安全保障である。
 多くの日本人はあの戦争を経て憲法9条を持ち、実戦の経験を持たないという決意をした。曲がりなりにも70年生きてきてそのことに誇りを持っている。しかし、実戦の経験を持っていないことに劣等感をもつ一部の官僚は鉄砲を打ちたい、だから9条を変えたい。日本の安全とかあまり関係ない。そういう改憲論に道を開いてはいけない。9条3項はめくらまし、安倍政権によって今の自衛隊は集団的自衛権行使し、戦争できる自衛隊になってしまった。3項に書き込んでしまったら9条が変質する。
 アベ的改憲論おかしいというたたかいを。これからみなさんと一緒にやる市民と野党共闘と憲法を守ることは一体としてやっていかないといけない。

常に希望を持って

 最後に常に希望をもって運動をしていこうと訴えたい。政治とは可能性の芸術である。希望とは地上の道のようなものである(中略)もともと地上には道はない。歩く人が多ければ、それが道になるのだ(魯迅の「故郷」)。
 三重県ではそれは道になった。同じことを愛知県でも日本全国でやっていこうではないか。ありがとうございました。

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