【18.03.10】川村ミチル(劇団そらのゆめ主宰/俳優/革新・愛知の会代表世話人)

 テレビもゲームも置いてない我が家だが、小6男子の溜まり場だ。6〜10人くらいが狭い和室にひしめき合ってじゃれている。息子曰く「うちの親ユルイから」だそうだ。私の在宅時に限るようにしてあるが、最初こそ大人しくしていた男子諸君もだんだん慣れ今では超リラックス状態。
 子ども達が来る日は大忙しだ。大量のお米を炊き握り、唐揚げだの卵焼きだのサラダだのサンドイッチだのを作りまくる。さながら「勝手子ども食堂」だ。

 始めるようになったのは、子ども達がイライラする=お腹が空いている事に気付いたからだった。群がるようにあっという間に完食し落ち着くと、家出したこと、学校でのトラブル、先生への不満、両親の離婚、将来の不安など、気に病んでいることを話してくれる。その何気無い会話の中に、子どもの周りに潜む、見えない貧困やグレーゾーンのネグレクトを見つけることもある。「お腹が空いたらいつでもうちへおいで」と言うと「うん!」と返事をする、その声はすでに太く、頰にはポツポツと赤いニキビ。彼らは数年後には大人になる。その時私は、どんな社会を受け渡せるのだろうかと日々思う。

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