【09.10.02】河村たかし河村たかし名古屋市長の「南京大虐殺」認識を問う

河村たかし名古屋市長の「南京大虐殺」認識を問う

日中友好協会愛知県連合会は、河村名古屋市長は9月15日、9月定例市議会で自民党議員の質問に答える形で、「南京大虐殺」について答弁しました。
この河村たかし市長の「南京大虐殺」の認識について、日中友好協会愛知県連合会は、声明文を発表しました。

河村たかし名古屋市長の「南京大虐殺」認識を問う 日中友好協会愛知県連合会会長

河村たかし名古屋市長は9月15日、9月定例市議会で自民党議員の質問に答える形で、「南京大虐殺」について答弁しましたが、その要点は以下の2つです。

(1)当時の南京の人口は30万人以下だったから、30万人が死んだというのは絶対に真実と違う。

(2)自分の父親が敗戦時に中国人から優しくしてもらって名古屋に復員した。大虐殺があれば事件の8年後こんなに優しくするはずがない。

先ず、「南京事件」は南京城区と周辺6県の近郊区を含む「南京特別市」の範囲で起こされた捕虜虐殺、強姦、掠奪を総称するもので、南京市城区の人口は、南京攻略戦前には空爆や戦乱を恐れる脱出が相次ぎ、もともと100万人をこえたものが約50万人に減少していましたが、そのほかに近郊6県の住民と、さらに南京防衛軍約15万人が居ました。20万人を超える日本軍の包囲殲滅作戦には、約100万人の住民が巻き込まれ、市の内外で殺戮、強姦、掠奪にあったのです。捕虜の集団処刑も多くは市の近郊地域で行われました。特にこの事件で捕虜虐殺のほか、無数の無抵抗の女性を強姦したうえ虐殺したことは日本にとって大きな歴史的恥辱と言うほかありません。これは事件当時から世界に知れ渡っていた事実です。

「南京人口30万人以下」という市長の認識は出発点で間違いを犯していますが、私は「数の論理」に目をとらわれることなく、国際法と人道に反した大きな事実にこそ注目すべきだと考えます。

次に、日本の敗戦後、中国側は共産党、国民党ともに戦犯容疑者以外の日本人を安全に帰国させる寛大政策を採りましたが、これは中国人民の怒りと復讐心を抑えて行われたことであり、優しくしてくれたことには感謝こそすれ、大虐殺、強姦、掠奪を否定する根拠にはできません。

本年3月に日中友好協会愛知県連合会は市民団体と共同して「名古屋南京友好都市締結30周年記念」の展示を行い、南京市の「大虐殺記念館」から提供された写真と説明文を、私どもの責任の範囲で展示し、大変多くの賛同者と参観者がありました。市当局はいったん決定した後援を取り消しましたが、来館者の多くから寄せられた感想文は「はじめてこのことを知った」、「次の世代に伝えるべきだ」という、きわめて積極的なものでした。

現在、中部空港と南京空港の間に直通便が予定され、文化・経済交流もいっそう進展しようという時期に、公人としての市長の今回の発言は、民間交流と経済交流をはじめ、真の友好交流を妨げるものと憂えざるを得ません。

河村市長、勇気があれば、南京の記念館で何層にも重なる遺骨を見つめて、市長の言われる「歴史の再検証」をしていただきたいと考えます。

                 2009年9月16日
                   日中友好協会愛知県連合会会長
                            石 川 賢 作

このページをシェア