【10.08.07】真に「市民が主人公」の名古屋市政をめざしてー―河村市政の問題点と克服の運動

日本共産党名古屋市議団 江上 博之

 
今回の参院選では、「みんなの党」(渡辺喜美代表)が「増税の前にやるべきことがある」と訴え、公務員や議員定数の削減を看板に伸張しました。昨春の名古屋市長選挙では、公務員と議員を「天国」と攻撃し「市民税10%減税」を訴えた元民主党衆議院議員の河村たかし氏が大量得票で当選しました。来年のいっせい地方選挙に向け両者の連携も模索されているようです。
 渡辺代表と河村市長に共通する立場は、新自由主義と改憲です。その実態を河村市政とこれに対抗する市民の運動の特徴を紹介します。 

河村市長の新自由主義「構造改革」路線と改憲論の危険性

 第1の特徴は、河村市長の新自由主義「構造改革」路線と改憲論の危険性が市政の場であらわになってきたことです。

河村市長の減税は、「金持ちはゼロ」の公約にそむく大企業・金持ち優遇の減税でした。河村市長は、「見直し」の公約を裏切り、前市政の大型事業を続行し、さらに名古屋城天守閣の木造建て替えなど新たな大型事業を推進しています。市民病院・保育園・障がい者施設の市営廃止・民営化計画を次々に出してきました。河村流「庶民革命」とは、名古屋を大企業・富裕層の“天国”に改造することでした。

 河村市長は、議会と首長がそれぞれ市民の代表という憲法の二元代表制を「立法ミス」と否定。「政治ボランティア」化を看板に議員の定数と報酬の半減を議会に持ち出しました。ねらいは議会の弱体化です。民主党政権の「地域主権改革」と重なる部分があります。

 河村市長は、市議会で南京大虐殺の事実を否定し、交戦権否認の憲法9条2項を「恐ろしい条文」と攻撃しました。市長の立場で愛知県護国神社を参拝しました。靖国参拝の市政版です。

市民と市職員の連帯した運動が前進

 第2の特徴は、そうした河村市政をはね返し、福祉・暮らし・民主主義を守る市民と市職員の連帯した運動が前進していることです。

 減税とセットの予算一律削減方針に対し「金持ち減税のための福祉予算削減は許せない」と市民運動が急速に広がり、当初の削減計画を変更させました。市長が今年度予算に盛り込んだ自動車図書館廃止や保育料値上げを止めさせ、河村マニフェストになかった国民健康保険料や水道料金の引き下げなどの弱者支援措置を実現させました。

 河村市長の市議定数半減に反対する著名13氏のアピールへの賛同が広がり、市議会は市長提出の定数半減条例案を否決しました。国際友好団体は市長の南京大虐殺否定発言にきびしく抗議しています。

市民と共同した日本共産党市議団の活動

 第3の特徴は、市民と共同した日本共産党市議団の活動です。

 日本共産党市議団は、福祉削減・財政悪化などの河村減税の問題点を追及し、福祉や財政状況と両立する庶民減税のあり方を提案しました。いったんは河村「恒久減税」に賛成した民主・自民・公明も、今年の2月定例議会で「今年度限り」に修正せざるをえませんでした。

 党市議団は自動車図書館存続の署名活動に取り組み、議会開会中に保育関係者の市長との交渉を実現させ、自動車図書館廃止と保育料値上げにストップをかける力になりました。

 議会改革では、市長の押しつけに反対し議会の自主的な改革が始まり、日本共産党市議団が主張してきた議員費用弁償の廃止や政務調査費の領収書全面公開が実現しました。議会基本条例の制定は民主的な議会改革の新しい出発点です。現在、日本共産党市議団は、市議報酬の引き下げに取り組んでいます。

 こうした名古屋市民と日本共産党市議団の取り組みは、新自由主義を克服し、憲法を生かす真に「市民が主人公」の名古屋市政をつくる力になるでしょう。

2010年7月30日

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