【10.09.26】革新・岡崎の会 ニュース10月号より

今こそ問われる9条と25条、庶民の運動を巻き返せ!= 渡辺治さんの講演を聞いて = Mさん

 
熱弁!まさに熱弁であった。9月26日、名古屋の労働会館東館2階ホールを満席(190人)にして、渡辺治さん(一橋大学名誉教授、憲法学)の講演会(憲法改悪反対愛知共同センター主催、テーマ「民主党政権の新段階と構造改革、憲法の行方」)がありました。 

休憩をはさんで質問に答える時間を合わせると3時間、ご本人にすれば、話したいことの半分もしゃべれなかったのではなかろうかと思えるところですが、聴く側にすれば、渡辺さんの思いをこれほどじっくり聴くチャンスはまず無かったのではと思う講演でした。

(1)昨年の衆議院選挙での政権交代・鳩山内閣の誕生は、国民の運動の力で創った嘗て無い政治の一歩であった。普天間基地の国外移設、核密約の公開など、本来の保守政権の枠を超えてしまった政権を元の位置に戻したのが菅政権である。

(2)日米同盟・構造改革路線回帰を目指す反動政権としての菅政権、その非常に危険な役割は鳩山内閣を右から否定すること、財界とアメリカの熱い期待と圧力で、党是であった4年間据え置くはずの消費税の引き上げ、その裏で法人税のいっそうの引き下げ、日米安保条約の進化と限りない拡大、構造改革路線への回帰。保守二大政党での政権たらい回しのために、衆参両院での比例定数の大幅削減を広言し実行動に入っていること、マニュフェストから憲法に関する記述が消されていることなど深く語られた。

(3)自公政権の地方分権改革を引き継いだ「地域主権戦略会議」で「三位一体」政策の悪夢を甦らせ、保育所設置面積規定の廃止や、医師・看護師定数の削減に見られるような、福祉・医療・教育に対する全面的攻撃が、国家責任を放棄する予算の削減、「地方の自由裁量の増大」と言いつくろい、住民に「地獄へ行く自由」を押し付けていること、地方でその先頭に立っているのが、名古屋の河村市長・大阪の橋下知事であること、その点から現在の名古屋での闘いが非常に重要であることを強調されました。

(4)基本的に財界・権力者の側に立つマスコミの異常と思える報道と相俟って、「自民党は駄目だが、民主党も頼りにならん」と国民は政治の選択に悩んでいる。われわれの声が多くの国民の心に届いていない。二大政党への支持は大幅に減ったが、それが革新の側へ来ずに、逆に革新の側にいた人までが、その他の保守「みんなの党」などに行ってしまった。
何を選択すべきか悩んでいる多くの国民の心に、「安保条約が無くなった方が、日本はより安全で豊かな国になるのだ」「消費税を上げなくても、いや、消費税をなくして、大企業に法律通りの税金を正当に払ってもらえば、何百兆円の内部留保を持っているのだからやってゆけますよ。」「大企業と政治献金のための不必要な大型公共事業を見直し、アメリカ追従のための何兆円というむだな軍事予算をなくせば、若者の雇用の問題も解決しますよ。」との訴えが、国民の心の確信となるように、工夫をした訴えを強めることが何より必要だ、との渡辺さんの指摘は、私自身の行動に後ろめたさと恥ずかしさを感じながら聞きました。

最後に「我々の側が、まだまだ観客の立場にいるのではないか。」との渡辺さんの言葉を、私は心で痛く受け止めました。
川柳作家であった故井上剣花坊氏の「日は沈み 月は登らず 世紀末」という句を思い出しました。
 

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