【09.06.10】この人に聞く おにぎりの会 岩田朝子さん 

「合い言葉は希望 おにぎりを食べて元気を出しましょう お隣の人ともつながりましょう

 
平日のお昼、中村区役所前で炊き出しを一日も休むことなく続けているおにぎりの会の岩田朝子さんら。「励みになっていること」、「取り組みや思い」を語っていただきました。

岩田朝子さん  
1945年滋賀県生まれ。おにぎりの会会員、中村区平和をつむぐ会会員

一日も休むことなく

 炊き出しを配る様子
 おにぎりの会は、平日のお昼に中村区役所前で炊き出しを行なっているボランティアです。「派遣切り」や「雇い止め」で職や住まいを失い、中村区役所へ生活保護相談にこられた方々に、再出発にあたって少しでも元気を出していただけたらとの思いで、おにぎりと味噌汁をお渡ししています。開始から4ヶ月、月曜から金曜まで一日も休むことなく続けています。

 今、メンバーの中には派遣切りで炊き出しの列に並んでいた人も参加され、就職活動をしながら、「手伝わしてください」「いつか僕もこういうボランティアをしたい」という人が何人かいます。最近、就職が決まった人がお米10キロを持ってきてくれました。派遣切りにあった若者たちがおにぎりや味噌汁の手渡し、交通整理、後始末など自発的に参加され、体の弱い方を気遣うなど助け合いの気持ちが生まれています。疲れはあってもそれに励まされています。「僕たちがちゃんと働くようになったら、皆さんを家へ招待します」と言ってくれます。本当にこちらが教えられることばかりです。

 いま、皆さんの運動で、行政の対応も相談に見えた人を路頭に迷わせることはしない、緊急宿泊所にとりあえずというような対応になってきています。

家庭の味を思い出して

 中村区役所に並ぶ人々
 朝からお昼近くまで毎日、120人分のおにぎりとお味噌汁を分担して作ります。4升のお米で120個です。栄養も考え、お味噌汁の具は、大根、にんじん、白菜、あげ、わかめ、ねぎ、豆腐など具だくさんです。
 具だくさんのもう一つの理由は、今まで食べてこられた家庭の味を思い出してもらいたいためです。その中には、どれか一つは食べたことがあると思うからです。そして、お味噌汁は赤味噌、白味噌を用意します。「あなたは?」ときくと「白、北海道」と。「赤味噌、名古屋でしょう」と会話ができ、笑顔が見えるのす。「どこよりもおいしく、化学調味料を使わない。」がモットーです。

 以前、たばこを吸って並んでいる人に、スタッフが灰皿を使ってほしいというメッセージを伝えるため、携帯「灰皿」を持ち立ちましたが、派遣切りにあった人から「ここは路上だけど僕たちの食卓ですよ」といわれドキッとしました。身も心も少しでも温めていただければと「こんにちは、お待たせしました。体、大丈夫ですか。お仕事見つかりましたか」と心を込めて話しかけています。孤独はいちばん辛いですから。

 人間の温かみを感じてほしいとおにぎりは小さいですが、気持ちは大きく(笑)、続けています。

 地域や、病院、集会など行くところ行くところで声をかけ募金をお願いしています。
 月10万円は材料費に必要で皆さんからの募金で賄っています。ぜひ、みなさんもご協力ください。

国会請願署名住所は「中村区役所」

 百年に一度といわれる大不況、私たちが、生きている間にあるかないかです。この時に助け合わなくて、いつ助け合うのでしょう。生活保護相談に訪れる人はさらに増える傾向にあります。色々な形で皆さんが取り組んでおられますが私たちにできることは、今、おにぎりをつくることだと思っています。

 「人間らしい働き方とくらしの実現を求める国会請願署名」を派遣切りなどで区役所に来られた方にお願いしています。住所欄には中村区役所という方が多く住所に松竹梅(緊急宿泊所の名前)、路上生活者と書いてある方もありました。「本籍を書きたい」という方は「こういう生活から抜け出したい」との思いが感じられ、簡単に住所は中村区役所でいいとは言えません。大変重みのある署名ですね。

 一杯の味噌汁でも、一個のおにぎりでもおなかを満たすと、落ち着いて区役所で相談できると思うのです。雨が降ってもよほど大雨でなければ、傘を差しながらやっています。5月1日には、派遣切りにあった人たちと一緒にメーデーにも参加、平和をつむぐ会の歌声喫茶に招待し、楽しい企画もやっています。

 「いつまでやるの」と聞かれますが、みんなやめる気はないですね。倒れない限りはね(笑い)。深刻に考えず、行動して、だめだったらまた考えようと楽天的なのでしょうか。 
 そして、そのまま終わらせないで、中村の助け合いの会として発展させていきたいと思っています。

 私は、昭和20年生まれです。出生数が少なく、なぜかなと思っていましたが、戦争があったからだと思います。

 戦争中、ひもじい思いで亡くなった人、被爆や空襲で亡くなった人がいるのです。私たちは、戦争で生き残った世代だと思います。
たまたま生き残っただけかもしれない、大変おこがましいけど、同窓会などが開かれると「私たち、終戦っ子は平和を呼ぶために生まれてきたのでは」と思いを語っています。

 派遣切りにあった人たちとメーデーに参加

すべての人が安心して暮らせるために

 路上生活の方々には情報が入らないので、一日遅れですが新聞を渡しています。近所の人など頼んで商業新聞、平和新聞なども渡しています。「今日の朝刊です」と渡したい。いま、新聞店と交渉中です。

 「孤独がいちばん寂しい」と派遣切りにあった方が言っておられたことがずっと頭から離れず、5月22日「おにぎり通信第一号」を発行しました。合い言葉は、「希望 おにぎりを食べて元気を出しましょう!お隣の人ともつながりましょう!」 今後も職を失った方々を応援し、憲法25条を実現する、全ての人が安心して暮らせる世の中を願って活動していきたいと思います。

募金にご協力を

デコレーションコンクールで表彰 
おにぎりの会は、支援のための募金をお願いしています。

ご協力いただける方は、下記へ

○ ゆうちょ銀行
  12080  4861431

○ ゆうちょ銀行以外の他の金融機関から振り込みの場合
  店番208 店名208
  普通預金  0486143

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