【09.09.18】インタビュー 福井悦子さん「憲法『実現」力をあわせて 連続憲法講座6年目に

福井 悦子さん

 
2004年から始まった「憲法連続講座」。これまでに、延べ5,000人を超える受講者が生まれています。「九条をまもる運動に大いに活かされている」と福井悦子弁護士。最初からかかわってこられた福井さんにお話を聞きました。

福井 悦子 さん

1954年1月生まれ。埼玉県に生まれ現在桑名市に在住。早稲田大学卒業。1982年弁護士。現在名古屋第一法律事務所に所属、おもに労働事件を担当。2児の母。

今年六年目の 連続憲法講座

 憲法連続講座は、2004年から始まり、今年で6年目です。これまでに、延べ5,000人を超える方が参加しています。毎回初参加の方も多く、改憲勢力に抗し、9条をまもる運動に大いに活かされていると実感しています。 
 2003年11月、小泉自公政権のもと、改憲勢力が国会の中で98%を占め、「イラク特措法」で戦後初めて武装した自衛隊をイラクへ派兵、改憲が政治日程に上り、憲法が変えられてしまうのではないかという危機感で、いても立っても居られませんでした。

 そんなときに、革新・愛知の会の成瀬昇さんの呼びかけで自由法曹団愛知支部、革新・愛知の会、愛知憲法会議の三者で集まり、何かやろうと相談しました。当時、私は自由法曹団愛知支部の事務局長でした。

 当地では、愛知憲法会議が既に何十年も憲法記念日に憲法集会を開催しているという実績をもっていました。5月3日の憲法集会を  起点に、6月から毎月  1回、翌年3月まで1  0回をかけて憲法についてじっくりと学ぼうと2004年、「憲法を学んで日本を知ろう!」をテーマに、“憲法を知らないままに変えられてしまってもいいのですか。まずは憲法を知ることから始めましょう”と呼び掛けました。

 第1回は森英樹さんを講師に「憲法ってなあに?」を開催、会場外の廊下まで人があふれてほっとしたことを覚えています。

魅力ある講師陣

 2005年は、改憲論に対抗し、憲法を活かすということはどういうことか「憲法を生かして日本を変えよう」をテーマに開催してきました。

 1月22日「あいち九条の会」設立総会に参加者のみなさんが、講座終了後、タクシーに分乗しあって、参加したこともありました。
 魅力ある講師陣に参加者の輪が広がっていきました。

スタッフの拡大 人との出会いに期待 胸わくわく

 2006年のテーマは「ふんばれ、憲法」です。テーマの提案者は新しく参加したスタッフの方です。参加者のみなさんに「スタッフになって下さい」とお願いしたところ、積極的に応募してくれました。さらにこの頃になると、名古屋市内の合同法律事務所関係の事務員さんが、受付や会場設営実務をしてくれるようになり本当に助かっています。

 この年の2回目の講師だった徐勝さんは、韓国民主化前、19年も投獄され、大変な拷問をうけられた方で、私の世代には超有名な方です。その除さんが語った東アジア平和の展望に大変感動しました。中日ドラゴンズ社長の佐藤毅さんのインタビュー形式でのお話は、とても新鮮でしたね。その後、佐藤さんはあちこちで講演をされ、「あいち9条の会」にも入られました。

 この頃から、改憲を阻止出来るのではないか、と思いましたね。
 2007年は「憲法の底力」をテーマに開催しました。5月に国民投票法案が成立、解釈改憲、憲法自体を破壊する“壊憲”がどんどん進み、障害者自立支援法による福祉の破壊、仁義なきリストラで解雇がひろがり、完全に勝ち組、負け組という格差社会が広がりました。
 憲法の中に答えを見つけて、社会を変えていくべきではないかと、9条と25条について学んできたのがこの年でした。

 2008年は、新自由主義のもとで犠牲になってきた医療問題や、派遣労働者問題、貧困問題に焦点をあてました。医療崩壊がこんなにすすんでいるという板津さんの話は、本当にタイムリーでしたね。また、画期的なイラク派兵違憲判決が出され、真の国際貢献はなにかということを積極的に考える年だったと思います。

 2009年、品川正治さんの話は本当に涙がでました。戦争の時代を生きるということは、死を突きつけられていることなんだということがはじめてわかりました。

 これからもいろんな人との出会いが、と思うと胸がわくわくしています。
 1年目、2年目は必死でしたが、今は口コミで来てくださる。市民のみなさんの力を感じます。参加者の方々の質問のレベルが大変高いですね。
 品川正治さんのときには大手の建築関係社長さんも参加されました。
 なにがなんでも国民投票法が発効する2010年までは続けないといけない、という気持ちですね。

私たちの声を 積極的に発信して

 今回の選挙の結果をみて、国民は、自民党・公明党のこれまでの政治にノーを突きつけたのであり、民主党を積極的に支持したのではないと思います。

 私たちが積極的にアプローチすることによっていい方向にも、悪い方向にも行く、少なくとも悪い方向に行くことを止めることは出来るんではないかという気がするのです。もっと積極的に私たちの声を発信していきたいですね。

《憲法》実現のために

 やはり、憲法9条は世界の宝だと思います。日本ではまだ、憲法が実現しきっていない。憲法に基づく政治をやってほしいからこそ、憲法の持っている意味を追究していきたい。
 日本国憲法は、今回の明文改憲という危機にさらされて、すごく、逞しく大きく成長したような気がします。あきらめかけたことも、しかし、あきらめる必要はないんじゃないか、と。

 まだまだ発展の可能性を持っている憲法を実現していくために頑張りましょう。

このページをシェア