【09.10.10】インタビュー 山内一征さん(2000年瀬戸旭医師会会長。現在、瀬戸旭医師会顧問、2005年あいち九条の会代表世話人、あいち医師・歯科医師九条の会代表世話人。)

戦争は命を破壊する最大の暴力ー医師として何ができるのか

山内 一征さん 
あいち九条の会代表世話人、あいち医師・歯科医師九条の会代表世話人の山内一征さん。尾張旭市のご自宅へ伺い、民主党政権について、九条や医療問題についてもお話を伺いました。

山内 一征さん
1945年愛知県生まれ、1969年名古屋大学医学部卒業。1988年やまうち内科開業(瀬戸市)。
2000年瀬戸旭医師会会長。現在、瀬戸旭医師会顧問、2005年あいち九条の会代表世話人、あいち医師・歯科医師九条の会代表世話人。

五味川純平『人間の条件』に共感

中学一年生の時、五味川純平氏の『人間の条件』を読み、戦争が如何に人間性を破壊するのか、戦争の中で人間として生きることの困難さを学びました。
 私は、長男で、父がフィリピンに出征中に生まれ、一征と名付けられました。父やシベリヤに抑留された叔父の戦争体験、母の空襲体験が身近にありました
 高校時代にトルストイ、ロマン・ロラン、クローニンに多くのことを学び、医師を志すにあたって、アルベール・カミュの「ペスト」に大きな影響を受けました。人間は、死を免れることは出来ない。しかし、全力で死と闘うことが医師の仕事であり、ペストと闘う主人公の情熱に心を打たれました。

立場を明らかにして社会的活動を決意!

 医師となって19年間は名古屋大学医学部で研究・診療・教育に、22年間は
開業医として 地域医療に  従事して   きました。  病気ではなく、病気を持つ人間を診て、ひとり一人のかけがえのない命を大切にして生きてきました。 
 2003年頃から明文改憲の動きが急激に強まり、2004年に
九氏の呼びかけで「九条の会」が発足しました。明文改憲が迫り、解釈改憲で憲法がボロボロになっている時、命を破壊する最大の暴力である戦争への道に対して、医師として、何が出来るのかと・・・。
 私は、九条を守り活かす立場を明らかにして、自分の生涯を通じて社会的政治的活動をする決意をしました。開業以来評議員であった愛知県保険医協会が、2004年秋から「守ろう憲法九条」、「なくそう核兵器」というアピール賛同の取り組みを行っていました。この取り組みを基礎として2005年10月に755名の賛同で「あいち医師・歯科医師九条の会」を立ち上げました。現在、賛同者は1071人で、全国レベルの「九条の会・医療者の会」の賛同者の四分の一を占めます。

自民党政治の崩壊、新しい歴史の幕開け

 54年間続いた自民党政権が崩壊し、初めて国民が自公政権にノーを突きつけました。新しい歴史の幕開けです。後期高齢者医療制度の廃止、障がい者自立支援法の廃止、労働者派遣法の抜本改正など幾つかの新しい芽が出てきていますがこれからの国民の運動次第です。九条問題も含め新しい段階に入りつつあると思います。
世界をみてもオバマ大統領が核兵器廃絶を打ち出し、さきの国連安全保障理事会ではオバマ米大統領が議長となり核保有5大国を含む全会一致で「核兵器のない世界へ」が採択されました。
テロ特措法が来年の1月に切れますが、民主党は、給油活動はやらず民生活動を考えるといっています。アフガニスタンへの軍事的関与の中止を求める運動が必要です。世界の大きな流れは戦争のない世界、核のない世界への流れであり、来年のNPT再検討会議へ大いに運動を強めましょう

九条守れの運動の手をゆるめてはいけない

 同時に民主党の危険な部分もきちんと見ていくことが大切です。「自民党はNO、民主党に期待するが不安・・・」という国民の声が大きい。鳩山首相は改憲論者です。選挙制度も小選挙区論者で比例定数180のうち80を削減するとマニフェストで打ち出しています。もともと大企業優先の政策をもち、日米同盟を基軸とする核の傘論、憲法よりも日米安保をという基本施策です。自公の失政と国民の運動によって、民主党は部分的に反自民的政策を掲げていますが、民主的な国民運動がなければ、民主党はどこへ行くのかわかりません。 
 新憲法制定議員連盟に入っている議員は今回の選挙で139名から53名へと大きく減っています。明文改憲ということでは遠のいたかのように見えるのですが、運動の手をゆるめてはいけません。民主党は、改憲、九条がじゃまという点では同根ですから、自民党といつでも大連立を組む危険性は常にあります。そこを訴えて九条守れの一点で大きな世論をつくっていくことが大切だと思います。
 民主党は、憲法審査会の始動はいいといっています。始動させない許さない闘いが必要です。九条の会の活動は、今の日本の状況にマッチした創造的な運動であると思います。2大政党に収斂させるという財界の基本方針があって、そのなかで小選挙区が導入され、民意が国会に反映されなくなってしまった中での新しい国民の運動形態です。九条の運動はますます必要で、これからが正念場ですね。

革新懇運動に期待

 地域医療の荒廃は深刻です。また、国民の生活の基盤は掘り崩されています。 大企業中心、日米同盟基軸と民主党が言っている限りは必ず消費税を財源にと行かざるを得ません。
 送っていただいた「革新・愛知の会」を見まして「3つの共同目標」が目に入りました。
 革新懇運動が掲げている「3つの共同目標」をみて、びっくり。私の考えていることと全く一致します。私も入会します。
 新しい状況のもとで共に頑張りましょう。

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