愛知県自民党議員に「脱税」の疑いーー裏金政治の真相を明らかに!!

「虚構の多数」による政治に憤り

田原 裕之さん

弁護士。名古屋大学法学部卒。
名古屋第一法律事務所所属。
自由法曹団愛知支部・支部長。
「自民党議員への税務調査の申し入れと刑事告発」呼びかけ人

自民党県連の政治資金

 事の発端は、日本共産党愛知県委員会が明らかにした自民党愛知県連のパーティー券のキックバック問題です。自民党愛知県連が出した令和4年分の収支報告書の中に自民党の議員に対し「活動費」として支払った資金が記載されています。選挙関係費は一人一律20万円、パーティー開催事業費は多いものだと100万円以上。延べ97名の議員の名前がありました。ところが、受けとった側の議員個人の収支報告書にはこれらの記載が一切なく、私たちは97名全員について自民党県連収支報告書を調査しました。記載されていた資金の総額は5055万円になります。これは、県連の収支報告書が公開されて初めて明らかになったことです。

脱税の疑い 

 さらには、令和5年1月時点で国税庁から「政治資金に係る雑所得の計算等の概要」という通知文書が出ています。これは、令和4年の所得税と特別所得税を確定申告する際には、政党からうけた政治資金は政治資金収入となり、政治活動上の経費を差し引いた収入は「政治資金に係る『雑所得』」として計上しなければいけないということを言っています。政治資金収支報告書にも記載されていないということは、確定申告もされていない可能性が強く、所得税法違反であり、脱税の疑いもあるのではないかと考えました。

国税局に申し入れ

 しかし、確定申告は個人情報ですから、私たちが見ることはできません。
 そこで「国税局はちゃんと調査してほしい」という趣旨の申入書を送付し、3月19日から「自民党議員への税務調査の申し入れと刑事告発」への賛同者を募り、3月29日時点での賛同者は109名になりました。4月2日付で、私と税理士の戸谷隆夫氏、事業者の服部守延氏の3名を呼びかけ人として、名古屋国税局に申入書を送付いたしました。同日、記者会見を行いました。

愛知県独自の取り組み

 全国的にも自民党のパーティー券のキックバックが問題になり、政治資金規制法違反や公職選挙法違反の告発はされています。しかし、今回、愛知県の場合は、議員名と金額が全て明らかにされたという点で違いがあります。自民党愛知県の国会・県会・名古屋市会の議員のほとんどが関わっており、名前のある97名全員が政治資金として報告していないという重大な問題です。組織的に動いているという疑いを強く持っています。同時に、脱税という角度で切り込むということは愛知県でしかできない運動です。

刑事告発も視野に

 賛同者は一次集約の3月29日以降もまだ来ていますので、4月下旬をめどに第二次の賛同者も集約していきたいと考えています。
 今後、国税局がどのように動くかわかりませんけども、その結果によって、脱税の疑いがはっきりしてくれば、名古屋地検に対する刑事告発も考えています。

国民生活は苦しいのに

 物価の高騰により国民生活はますます苦しくなっていますし、インボイス制度の導入などにより、市民は本当に苦しい状況で納税の義務を必死に果たしています。一方で、公僕であり、憲法遵守義務がある議員に脱税の疑いがある。その事自体に怒りを感じます。県連が渡したとなっている政治資金について、もらったことすら隠されているし、どのように使ったかもはっきりさせていない。これは本当に許せないという気持ちです。パーティー券などに注目が集まり問題となっていますが、それまではまともに申告しなかったのではないか。県連議員のほとんどが関わるこの事態は、個人の「記載ミス」「申告もれ」のような範疇ではないと思います。そのような言い逃れは許されません。

選挙とカネ
 
 先ほども話した、組織的に動いている可能性とともに、選挙活動を通じて巨額の資金が動いていると考えています。昨年の参議院選挙公示直前の6月に「活動費」という名目で一律一人20万円は配られています。 これは、選挙活動を通じて巨額のカネが動いているということではないでしょうか。

小選挙区制の弊害

 小選挙区制の問題でもあると感じています。私たちの「政治を変えたい」「生活をよくしたい」という思いとはうらはらにカネの動きで政治が動かされていくことに憤りを感じます。
 こんなのは「虚構の多数」だと思っています。「虚構の多数」で票を得た党が政権党をうたっていること自体おこがましいとさえ思います。こんな「虚構」の政治は一日も早く終わらせなくてはいけません。

怒りを広げて 県民的な運動に
 
 選挙の票をカネで買う。こんな実態が許せますか?
 革新懇など、それぞれの所属するコミュニティ、家族や友人、そういうところで話題にしていく、怒りを広げていく、そういう動きが今必要だと思います。
 国税局と自民党県連の今後の動きには引き続き注視してほしいですし、怒りの声と運動を大きく広げてほしいです。

このページをシェア