社会を変えるため 声をあげよう!行動し続けよう!

 投票することで未来がひらける

重原 惇子 さん

しげはら・あつこ さん

NPO法人参画プラネット常任理事。
キャリアコンサルティング技能士2級、日本語教師。岡崎女子大学などで非常勤講師を歴任。

私がおかしいわけじゃない
 20代で職場結婚をし、仕事を辞め、夫の転勤で広島に住んでいました。広島では二児の子育てをしつつ、無農薬有機栽培の共同購入や祝島原発反対の市民運動に関わっていました。仕事もしていました。しかし突如、夫の名古屋への転勤が決まり、それまでの築いてきたコミュニティや仕事をすべて断ち切ることになります。名古屋に知り合いはほとんどおらず「手帳が真っ白」という事態に孤独を感じ、とても苦しかったです。
 そんな時、参画プラネットの前身となる団体主催の講座を受講しました。そこで、自分の抱えていたモヤモヤは、私個人の問題ではなく、社会の問題、ジェンダーの問題なのだと気づきました。「個人的なことは政治的なこと」これは、1960年代以降の学生運動や第二波フェミニズムにおけるスローガンです。「私おかしいわけではないんだ」ということがわかって初めて深く呼吸できる、そんな気分だったんです。そこが私のスタートでした。これをきっかけに講習会や映画の上映会などの活動に関わるようになりました。

働いて自信を取り戻す
 ある日、夫から「そこに行くための交通 費も僕の給料から出てるんだよね」って言われて・・・「はぁっ?!」って思いました(笑)とはいえ、結婚、出産、転勤でキャリアなんてほとんどなく仕事を始めるのも大変です。団体でやっていたライター講座を受けてライターの仕事が入るようになりました。最初にもらった原稿料は少なかったですが、働いて報酬を得るということが社会とつながっている実感となり、自己肯定感を取り戻すことだとわかりました。
 51歳で大学院に行き、キャリアコンサルタントや日本語教師の資格をとり、今の活動につながっています。1999年に男女共同参画社会基本法ができ、2004年にそれまでの団体を発展的に解消し、NPO法人参画プラネットを立ち上げました。現在6人の理事がいますが、なんでも気兼ねなく話せる私の「居場所でありプラットフォーム」です。

ジェンダーは人権
 ジェンダーは人権の問題です。そもそも人権とは何か、日本は人権意識そのものが低いと感じます。
 戦後、高度経済成長の中で、男性の労働力を酷使するためのシステムとして「性別役割分業」がありました。家事・育児・介護など、全て女性がやってくれれば、男性は24時間戦えるからです。企業にとっての都合のいい労働力とは、意見を言わない人間。個性なんかいらないってことですよ。「自分も大事、あなたも大事」そんな人権意識はなかなか育たないでしょう。
 一方で、家事、育児、介護、地域ボランティア、学校PTAなど女性が担ってきたことは、非常に軽んじられていると思います。介護や医療、保育などで働く人々の待遇が低い事にもつながっていますよね。しかし、これらの「労働」がなければ、家庭も地域も回らないんです。そのことに気が付いてほしいと思います。
 今になって、ジェンダーセンシティブと言われ、女性優遇などと言う人がいますが、スタートラインにすら立ってないんです。政治家や管理職への女性の割合が少ないですよね。同じスタートラインに立ってはじめて個人の能力が問われてくるんです。

自民党政治はもうダメ
 自民党政治ではもうダメでしょ。日本は1985年に女性差別撤廃条約には批准しましたが、選択議定書に批准していません。勧告も何度も受けています。先日も上川外相の失言がありましたが、自民党議員の意識の低さ、自民党の言う「日本の伝統的家族観」なるものが、いかに問題か明らかです。こういう人が権力の中枢に居続けるのは間違ってます。昔の自民党は、拮抗する野党がいたこともあって経済主導、スタビライザーが働いていましたよね。でも、今の自民党は共同親権にしても、裏金疑惑にしても、本当に国民を舐めてるんじゃないかと腹が立ちます。緊張関係のなさが招いた結果です。
 2010年から、美濃加茂市の男女共同参画推進委員会の委員長をしています。美濃加茂市議会の副議長が起こしたハラスメント行為が報道されました。グローバルスタンダードを全く理解していない行為だと愕然としました。副議長は辞任しましたが、議員は続けると言っていますし、何が問題なのかわかっていません。委員長として、委員会の事務局に意見を言いましたが「議会の問題」ということで取り上げてもらえませんでした。

変えるための行動を
 一緒に行動する人を一人でも増やすことが大事だと痛感しています。政治を政治家の好き勝手にさせてはいけません。そのために私たちが絶対にやらなくてはいけないのが選挙にいくこと。投票する権利を手放してはいけません。若い人は未来への展望や希望なんてなかなか見いだせないかもしれません。「投票しても…」と思うかもしれません。でも、投票することで未来がひらけると思っています。投票行動そのものが未来につながる。行かなきゃなんにも変わらないんです。
 若者が希望を持てる社会にしてこれなかった私たちの責任も感じています。でも、私はこの社会のおかしさに気づいてしまった。気づいた人は後戻りはできません。だから声をあげ続けたいですし、行動し続けたいです。現状を変えるためには、それしかないですよね。

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