【18.05.10】石川勇吉――僧侶、宗教者九条の会、革新・愛知の会代表世話人

“思いやり”や“慈しみ”の広がる社会を築くたたかい

 お年寄りから帰ってくる言葉の一つに、「あの時代を繰り返してはいけない」というものがあります。「あの時代」とは戦時中のこと。防空演習や勤労奉仕の折に、権力を笠に着た人物から受けた罵声。「憲兵の〇〇さん」「在郷軍人の〇〇さん」と記憶に今も。その罵声で味わった恐怖感を、「繰り返してはいけない」というのです。
 イラク派遣日報の問題を取り上げていた民進党の小西洋之参院議員が、4月16日に統幕3佐から「おまえは国民の敵だ」との罵声を受けたとのこと。かつてお年寄りが体験した恐怖の罵声と同じ。「繰り返してはいけない」ことが現実になりつつあります。
 安倍首相は13年に「私を右翼の軍国主義者と呼びたいのであれば呼んでいただきたい」とし、15年には野党議員に「早く質問しろよ」とヤジ。耳を疑うほどの権力者ぶり。「繰り返してはいけない」ことの根源は、安倍首相にあります。
 「天下が和らぎ…国豊かで民安し」の世界は、「兵士も武器も不用」と『仏説無量寿経』は説いています。“戦力の不保持”と“平和的生存権”を一体のものとして描いています。経典は続いて、「徳を崇め仁を興す、政治は礼譲をもって修められる」としています。仏教上の「徳」や「仁」は“思いやり”や“慈しみ”のこと。それらは“戦力の不保持”の社会で実践されるとしているのです。
 9条改憲がもたらす社会は、権力を笠に着た人物による罵声横行の社会。安倍政権打倒の戦いは、“思いやり”や“慈しみ”の広がる社会を築く戦い。仏の教えに応え、力の限りを尽くしたいと思います。

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