【11.12.23】二宮弥史郎さん(深川神社宮司、相談役)

 
2011年3月11日はこの地球にとって、就中、日本にとっては緊急一大事となった。以下、日本神話を勝手流に借りて、お話を進めます。
 大量生産、大量消費、成長をなくして、発展なし、動き出したら、止まらないまでに成長した資本主義の信奉集団スサノオはこの地上の資源を太陽から恩恵とも知らず、我が物に石炭、石油と消費し尽くし、この地球を荒らしに荒らして、今や、禁断の原子力にまで手を出し、生産の糧として、荒ぶるようになった。太陽神アマテラスは先に、スリーマイル、チェルノブイリでも警告をしたが、遂に、この日本では怒り、アマの岩戸に籠もってしまった。東日本では大地震、大津波の大震災、これで終われば地上は永い年月を経て修復するだろうが、これが引き金となって東電福島第一原子力発電所の暴発、今や、現下のあらゆる知力を結集しても元通りに戻ることは不可能になった。
 スサノウ達は会議に会議を重ねたが、空回りするばかり、現下の被災地ではその住人等の日々の暮らしを水道、ガス、道路等あらゆるインフラはストップの中で被災した地元紙『河北新報』が全限りの力を尽くして、一日も休まず日々の模様の周知、広報に努力した。又、この震災で犠牲となった尊い命数万にもおよぶだろう遺体を収集して、識別して、遺族の方々に戻してあげたいと地元の消防、警察、公務員、又、自衛隊の人々、ボランティあの医師、民生委員、僧侶等の司々が努力する様をルポルタージュ作家石井光太ミコトが『遺体』を出版、世に問うた。又作家池澤夏樹ミコトは現地に臨んで見聞きして、『春を恨んだりしない』を出版、せめて今年だけは鮮やかに開花しない墨染めに咲いてくれ、又、来年には美しく咲いても恨まないと――――、早、被災からもう9ヶ月が過ぎるが、政府、東電等の権力集団アマツカミ等は情報の公開を渋り、今後の進展には責任の回避をするばかり、未だに、金の卵と原子力発電に泥濘して、将来の展望については全く零に等しい。
 ところが一旦原子力発電が深刻な事故が発生して、大量の放射性物質があたりにばら撒かれる、その土地では生物はその先何年も生存することは困難になり、わし達人間には防護服を身に着けなければ暮らしていけなく、人間の生態圏ではなくなってしまう。
 このあたりで、アマテラスの復活、スサノウ追放のエピローグ(?)――――元々、スサノウもアマテラスには従順に暮らしていたので、この辺りで、自然への挑戦、破壊、大量廃棄物の発生、汚染路線を悔い改めて、アマテラスの恩恵を頂きながら新しいエネルギー供給の開発に力を注ぐことが肝要と思う。幸いにして日本は四方を海で囲まれ、緑豊かな場所に恵まれ、水力、風力、ソーラーシステム、植物の光合成等々太陽エネルギーの贈与を受けながら本格的に取り組めば新しい道が開けてくる。このことについては学者の中澤新一さんが素晴らしい展望をなさっているので、『日本の大転換』(集英社新書)を是非、ご一読されたい。

このページをシェア