最近は、テレビを見ていて苛立つことが多い。昨夜は、NHKの9時のニュースで、大越キャスターが野田首相に独占インタビューをしていた。視聴者からは、なかなか鋭い質問が出ているのだが、キャスターが何とも弱腰で迫力がない。わざわざ答え易いように粉飾して質問する。野田首相はうまくしゃべって、結局、本心を見せない。例えば原発について、キャスターが「菅さんは脱原発依存と言われましたが、野田首相は、何か考えが違っておられるのでしょうか?」と遠慮がちに聞く。野田首相は「いや、別に違ってるわけではありませんよ」などと何気ないようにかわす。そんなに軽い問題ではないはずだ。自分が「脱原発依存」の考えならば、首相はそれを自分の言葉で言うべきで、それを言わせるのが大越さん、あなたの役目でしょう。
最近のNHK,とくにニュース報道番組の姿勢がおかしい。この夏は「節電」を呼びかけ、「熱中症」を過度に報道しながら、キャスターはいつも背広ネクタイ姿だ。スタジオは冷房ガンガンなのだろう。昨夜のインタビューの締めには、驚くなかれ、中曽根康弘氏が野田首相を励ますというシナリオなのだ。そして大越キャスターが最後に言ったのは、「では野田首相、国家、国民、国益のためにがんばってください」だった。彼は早口で言ったが、私は、「国家」「国益」を聞きのがさなかった。単に「国民のためにがんばって!」と言えばすむところに、なぜ「国家」「国益」がすばやく入り込むのか、これは大越キャスターの問題なのか、NHKそのものの問題なのか、いずれにしても苛立つことの多い今日この頃である。
*野間美喜子さんは、2004年9月号にインタビューに登場していただき、「9条を守る運動を!平和憲法と共に生きて」と語っていただきました