【14.08.10】憲法の基本理念である「平和主義」を破壊する危険

梅村忠直さん(弁護士・元自民党県議)

 
 政治の劣化、社会全体の劣化が進行している。
 本質的論議を置き去りにし、「選挙」を手段から目的に転化した「政治家」ならぬ「政治屋」、本来の責任を果たさない政党、そして、政治を自らに関わる問題とは考えず、幻想を抱いたまま投票し、あるいは気楽に棄権する有権者・・・・。
 政策論争=「論議」は、言いっ放しではなく、異なる主張や批判を理解・検証したうえで、自らの主張を進化させるものでなければならない。ワンフレーズの「議論なき政治」は間違いなく社会全体の劣化へと繋がる。
 政策論議もなく、国では、「郵政民営化」や「政権交代」を唱えれば、幻惑状態のままに「風」を巻き起こした総選挙、地方でも不透明な「都構想」や「減税」に惑わされたまま有権者が目覚めない首長や議会の選挙等々・・・。「学習効果」はないのだろうか?
 そして今、「解釈改憲」と称し、非現実的な事例を列挙して集団的自衛権の行使容認を閣議決定する暴挙が罷り通っている。集団的自衛権を大義名分とした実例、ベトナム戦争、アフガン戦争、イラク戦争等を検証すれば明らかな如く、「行使容認」は無用且つ悲惨な戦争に巻き込まれる危険が極めて大きい。火遊びが大火事となる危険、憲法の基本理念である「平和主義」を破壊する危険を直視すべきである。
 頑なな護憲論のもとで改憲論議をタブー視し、条文と実態の乖離を放置してきた風潮が、今日の「議論なき政治」の一因ともなっているように思えてならない。

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