東日本大震災に伴う福島第一原発事故から5年経った。今も10万人を越える避難者が家族や友人知人と離れ離れの厳しい生活を余儀なくされている。
福島県ではこれまで166人に上る小児甲状腺がんが確認され、本人はもとより家族も将来に大きな不安を抱えている。こうした中で再び起きた熊本地震は改めて日本における原発の危険性を示すものである。
福島原発事故以降、昨年8月と10月に初めて再稼動した川内原発1、2号機は日本政府の原発に対するスタンスを改めて明らかにした。住民による川内原発運転差し止め裁判で福岡高裁は4月7日、原発の安全性について「これまでの社会通念によれば大事故のリスクは無視しうる」というあきれた根拠で運転差し止め請求を却下した。その直前の4月1日、安倍首相はワシントンの核サミットで福島の被害にはまったく触れず、原発再稼動を明言していた。事故が起これば「想定外」と責任逃れに終始し、電力会社や原子力産業の利益を最優先する政権与党は、福島原発事故に全く学んでいないばかりか、更なる事故をも気にしていないかに見える。
今回の熊本地震は震度7の2回を含め、すでに650回余の余震が起きており、震源が九州から四国の伊方原発近くを通る中央構造線断層に沿って移動しつつある。川内原発はその南端近くにある。
現在、地震予知はまったく信頼できるレベルではなく稼働中の川内原発が安全な保証はない。川内原発を含め地震大国の日本で原発を動かしてはならないと痛切に思う。
*河田昌東さんは、2013年5月号インタビューに登場され「価値観の転換こそ未来をつくる」と語っていただきました。