九条改憲阻止のたたかい――戦争の現実を学ぶ大切さ
3月25日の自民党大会で、九条の現行規定を死文化させ、海外で戦争することを可能にする9条加憲による改憲の方針が確認された。この一年は、9条改憲の国会発議を阻止するかどうかの天王山となる。
戦争は、個人の尊厳が制限され、平和的生存権は勿論、基本的人権が制限され、人間性と人間らしい生活が破壊されることである。
九条改憲阻止のたたかいにとって、戦争の現実を学ぶ事は大切である。
イラク支援に派遣された延べ1万人の自衛官のうち、28人が自殺し、PTSD(心的外傷後ストレス障害)は1~3割にのぼるとされている(2014年4月16日 NHK「クローズアップ現代」より)。
南スーダンPKOに派遣された延べ3,943人の自衛官のうち、2人が自殺し、PTDSは初診78人、再診127人であると政府の答弁書で述べている(3月17日赤旗)。
このことは、直接戦闘に参加しなくても戦争状態に身を置くだけで、健全な人間性が傷つき自殺やPTSDが発症することを示している。
昨年12月25日に発刊された『日本軍兵士―アジア太平洋戦争の現実』(吉田裕著、中公新書、820円)は、凄惨な戦場の現実を歴史学の手法により、「兵士の目線」「兵士の立ち位置」からとらえ、更に「帝国陸海軍」の軍事的特性との関連で明らかにした労作である。『戦争とトラウマ』(中村江里著、吉川弘文館)、『帰還兵はなぜ自殺するのか』(ディヴィット・フィンケル著・古屋美登里訳、亜紀書房)もお勧め。