【22.9.10】津田正夫さん(元NHK プロデューサー)

旧・統一教会  メディアも政治も 正面から取り組む べきではないか

 安倍元首相の銃撃事件に対して、直後からマスメディアは「民主主義への挑戦」「容疑者の思い込み」と的外れの大見出しをつけ、なおかつ4日間「統一教会」という団体名を隠した。統一教会と自民党とに忖度して、焦点をぼかしていたというほかない。
 しかし、山上容疑者の供述や関係者の話などから、母親が入信している「世界平和統一家庭連合」(旧・統一教会)への一億円以上もの献金によって家庭が破壊されたことが明らかになった。
 統一教会の霊感商法被害に長年取り組んでいる弁護士や元信者などの証言、週刊誌の調査などから、すさまじい統一教会の献金収奪システム、選挙支援への信者の動員、議員の支配、多くの自治体の「家庭連合」行事への協賛が常態化している状況が見える。
 「反共産主義」「男女平等反対」の政策は自民党の政策と親和性が強く、地方組織を持たない安倍派議員の選挙は、統一教会との相互依存で成り立っている。
 
 私が放送した統一教会のドキュメンタリーの取材体験からは、カルト的宗教に吸い込まれていく被害者の多くは、困難な状況を抱えて孤立した女性像が浮かび上がった。親子や夫婦の断絶、病いや貧困、誰にも相談できない困りごとを孤独に背負い、アイデンティティを失って絶望している共通の状況があった。最近、若者・女性・高齢者など経済的・心理的に追い詰められ、死刑を望んで人を殺す事件も続発している。
 
 合法的な搾取社会とでもいうべき現代の状況の過酷さにこそ、メディアも政治も正面から取り組むべきではないか。

*津田正夫さんは、2014年4月号インタビューに登場され「安倍政権のメディアコントロールを許さない 籾井会長は辞任を!の声をどんどん届けよう」と語っていただきました。

このページをシェア