【23.06.10】弁護士・北村栄さん 巨大ローファームと最高裁の癒着

 私は、50年前の名大1年時に薫陶を受けた梅津済美教授の影響で、7年前に福井の40年超の老朽原発の廃炉訴訟を名古屋地裁に提起をし、原発のない社会を目指している。
 原発訴訟は、他にも故郷等を奪われた人々の損害賠償訴訟がある。その最高裁判決が昨年6月に出たが、何と多数の高裁判決を覆して国に責任はないとした。何故そんなことになったのか。判決に関与した4人の内2名が弁護士出身であるのに国の責任を否定し、一方唯一国の責任をはっきりと認めたのは検察官出身の三浦裁判官だった。
 最近、団藤重光元最高裁判事のノートが公開され大変話題になった。そこには、元最高裁長官が当時の最高裁長官に電話をかけ、それがきっかけとなり高裁が認めた騒音訴訟での飛行差止を覆す判決が下されたいきさつが書かれていた。司法の独立を最高裁自体が揺るがしたことがわかる大問題である。そして、さらに最近、昨年の原発訴訟の逆転敗訴判決にも実は別の大きな力が働いていたとの疑いが出てきた。裁判所、国、東京電力に加え、大手巨大法律事務所(ローファーム)が関与していたことである。
 元最高裁判事が退官直後巨大法律事務所に入るだけでなく、裁判所に東電や国を擁護する意見書を出していた。また、巨大事務所の弁護士が最高裁判事に何人もがなっているという構図である。上記2名の裁判官も巨大事務所出身であった。一方、検事出身の三浦裁判官は東大生時代、市井の人々の中に入りセツルメント活動をしていたとのこと。違いを分けたヒントがここにあるのだろう。

*北村栄さんは、2013年3月号インタビューで「原発は日本の行く末を左右する根本問題」と語っていただきました。

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