【23.09.10】NPO法人チェルノブイリ救援・中部 河田昌東さん 

放射能汚染水の 海洋放出を許さない!

 東京電力は8月24日から放射能汚染水の海洋放出を始めた。これまで貯まった汚染水の量は136万トンに及ぶ。この汚染水には860兆ベクレルもの膨大な量の放射性トリチウム以外にストロンチウムやセシウムなども含まれている。東電や国はトリチウム水の処理は不可能で、海水で希釈しトリチウム濃度を1500Bq/リットル以下にして海洋放出しても問題ない、という。これを今後30年以上続ける。現在千基を超える汚染水タンクが増えれば廃炉作業に支障が出る、というのがその理由である。
だがトリチウム水の処理は可能である。トリチウム水(T2O)の質量は軽水(H2O)の20%も大きく、沸点や融点、分子のサイズ等が違う。それを利用した濃縮技術がある。2013年に国は汚染水対策を募集し世界中から182件の応募があった。通常の水は0度で凍るがトリチウム水は4・5度で凍る、という性質を利用した提案もあった。近畿大学はアルミニウムの特殊なフィルターで汚染水蒸気を通すと軽水は素通りし、トリチウム水は100%保持出来た、という。こうした装置で一日400~500トン処理すれば130万トンの汚染水は10年以内にタンク一個程度に濃縮し長期保管出来る。その他様々な提案があったが経産省の専門家チームはこれらが何れも実用段階にないとして排除し、海洋放出を決定した。
 その真の理由は何か。建設中の青森県六ケ所再処理工場が稼働すれば、現在の福島原発の汚染水の20倍のトリチウム汚染水が毎年発生する。国はこれを海洋放出する、と決めているのだ。

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