
・戦後80年という節目に、西田昌司参議院議員の発言が、沖縄社会を揺るがした。沖縄県民、沖縄戦体験者や平和教育に携わる人々の哀しみ・怒りはいかばかりかと、心が痛む。筆者は、西田発言の露見直後に、ひめゆり平和祈念資料館で沖縄テレビの取材を受け、はからずもその問題点を述べることになった。以下はその要点である。
まず、「ひめゆりの塔」をめぐる西田発言は事実誤認であり、その誤った認識をもとに、戦死した人々が報われないという、自分こそが犠牲者に寄り添っているという姿勢はとうてい許されない。また、沖縄県の戦争史記述と平和教育を「でたらめ」「むちゃくちゃ」と根拠なく批判し、「歴史を書き換え」ていると決めつけたのは、看過できない暴言である。さらに「自分たちが納得できる歴史を作らないといけない」という発言は、自らが「歴史を書き換え」ると宣言する、独善的かつ暴力的な歴史修正主義者の姿勢である。そして、最大の問題点は、沖縄県民、とりわけ沖縄戦体験者、基地問題に苦しむ市民、沖縄戦研究者や平和教育・市民運動に携わってきた人々、さまざまな表現者たちの真摯な想い・たゆまぬ努力・大きな成果を踏みにじったことにある。戦争体験者の証言にもとづく記録・記述の非常に重厚な蓄積を土台に、沖縄から平和・非戦を発信し続けてきたことを、西田議員やその同調者は顧慮していない。
沖縄戦の本質への誤った認識による発言などが続く異常事態に接し、戦争体験の継承と戦争の真実の把握と省察が、今こそ求められているとの認識をあらたにしている。
☆阪井芳貴さんは、2010年9月号インタビューに「ウチナーンチュとヤマトゥンチュとで基地問題の解決を!」語っていただきました