名古屋入管被収容者への面会活動に思う

名古屋岩の上教会牧師 
   相馬 伸郎
 さん

名古屋出入国在留管理局を初めて意識したのは、2021年3月、スリランカ国籍のウィシュマ・サンダマリさんの死亡事件を通してでした。抗議電話から始まり、被収容者の面会活動を行うようになりました。
 一年余り前には、教会で入管問題を学ぶ会を開き、長年面会活動を続けてこられた西山誠子氏(「生きとし生けるもの―入管ウォッチャー15年の面会報告ー」風媒社 千八百円)をお招きしました。以後、私ども夫婦は、月に一度、西山氏と共に面会活動を重ねています。その願いは、二度と死亡事件を繰り返させないこと、人権侵害を市民の監視で防ぐこと、そして何より収容者を精神的・信仰的に励ますことです。
 ところが、2025年5月、再びスリランカ国籍のFさんの医療ネグレクト事件が起こりました。教会は支援団体「フレンズ」と連名で抗議文を提出しましたが、そこで改めて見えたのは、入管の隠ぺい体質、人権意識の低さ、差別意識、そして権威主義でした。「死亡者が出なければ事件とならない」という姿勢すら透けて見えます。
 排外主義が野党最上位の参政党の支持につながり、それが入管体質温存の追い風となるならば、いよいよ憂慮すべき事態です。対抗しなければなりません。ただし、私たちの面会活動は、政治的成果よりもまず「収容者ひとり」と「フレンズ」として関わることに重きを置いています。
 もしも、参政党に票を投じた「ひとり」の心の闇(疎外感、劣等感)をも理解しようとする共感がなければ、リベラル陣営はさらに退潮してしまうのではないか―そのような懸念も抱いています。

相馬伸郎さんは2016年9月号「自由・権利は国民の不断の努力で―奉仕に生きる教会をめざして」とインタビュ―に登場していただきました。

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