【11.09.10】多数派めざして 脱原発80%世論をより強固に

原発問題愛知県連絡センター事務局長 柴田隆通さん

 
 一時避難した住民が、わずか数時間の帰宅で、先祖の位牌を大切そうに持ち出す姿、暑い中、長袖を着ての登下校、親友と離ればなれになるさびしさを話す小中学生、捨てる牛乳と知りながら搾乳し、自ら掘った穴へ捨てる空しさ、手塩に掛けた牛を手放さなければならない悔しさを語る酪農家などが放映されるたび胸が締め付けられる。
 当然、世論調査では8割以上の人が「脱原発」を支持している。
 原発は「経済的」、「環境負荷が低い」など大掛かりな宣伝は、一気にふっ飛んだ。
 そんな中でも中曽根元首相は「どんな技術でもリスクはともなう、飛行機でも落ちる」とか、経団連の米倉会長は「電気が不足すれば企業が外国へ出て行く」などと平然と言ってのけている。そんなことが国民に理解されるわけがないと思うが、それでも原発推進をいわなければならないのはなぜだろう。
 先日、自民党の石破氏が「原発を止めることは、国防にとって不利益である」と言っていた。核兵器を持てなくなるからだ、という主旨である。過去、度々論議されてきたことであるが、公にされることはなかった。事故の結果、これまで言ってきた原発の必要性が事実で否定され、隠されてきた本音が出たわけである。
 保守支配層の「ねらい」がそこにあるなら、政策転換は簡単なことではないと思う。必ず巻き返しがある。巻き返しに立ち向かうカギは、8割以上の「脱原発」への「思い」を「確信」にすることである。それは、「原発は未確立の技術であり、現状では人類が完全に制御できない」、を理解することであり、少し努力すれば可能であるが、いかに多くの人々に伝えられるかが大きな課題である。

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