【16.11.10】建交労愛知県本部 書記長 谷藤賢治さん

労働時間の短縮に向けて

 
 最近、トラックの重大事故が相次いでいます。トラックの事故の特徴は、追突が半数を占めていることです。 
 とくに高速道路での交通事故は、ほとんどが追突なのです。追突の原因の多くに、居眠り運転が考えられています。長時間労働がその要因となります。

 労働基準法の残業の目安基準でトラック運転は除外されています。トラック独自に「改善基準告示」が設けられているからですが、この告示が長時間労働の温床となっています。 
 この規制の一例でいくと、一ヶ月の最大拘束時間は293時間となっているのです。これでは、月間残業時間が、過労死認定基準を超える月100時間以上の残業が可能になってしまいます。さらに最近注目されているインターバル時間(「告示」では“休息期間”という)は8時間以上となっています。ILO153号条約では、これが10時間以上となっていますが、日本は改善基準告示を策定しているとの理由で、この条約に批准していないのです。また、トラック業界の脳・心臓疾患の労災認定数は、他産業と比べ10倍以上に高いことも問題です。突然、脳梗塞が運転中に発症したら、ノーブレーキで追突していきます。重大事故の何例かは、運転中の脳・心臓疾患とも言われています。 

 いのちを削って日本の物流を支えているトラック運送業界ですが、現在「取引環境・労働環境改善協議会」が各県・中央段階に設置され、協議が進められています。この協議会には、国交省・経産省・厚労省・トラック業者・荷主団体・労組代表者が入っています。労働時間の短縮、トラック労働者の賃金引上げが行われなければ、国民の暮らしを支える物流が止まってしまうのです。

 脳梗塞や物流梗塞にならないため、長時間労働の是正という課題を圧倒的な国民的の要求として多数派を形成するため、様々な立場の違いを超えて奮闘しています。

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