【17.04.10】共謀罪は廃案しかない――弁護士・渥美雅康

 
過去3度廃案になった「共謀罪」法案を、多少装いをかえただけでまた提出するというのは、国会を、そして民意を愚弄しているとしかいいようがない。
 法案にはいくつかの言葉が付け加えられたが、「テロリズム集団」は例示であり、「共謀」が認められれば「組織的犯罪集団」と認定され、「準備行為」も無限定。対象犯罪を多少絞っても277もあるのだから、どれかには引っかかってくる。結局、「共謀」が認められば処罰するという共謀罪の本質は何も変わっていない。
 「共謀」とは言葉のやりとりであり、目配せでも成立するとされるから、どうしても恣意的な適用が避けられない。しかも、そのような「共謀」を立証する手段は、盗聴か自白によるしかない。共謀罪という重大犯罪を検挙するためとして、盗聴はフルに活用され、さらなる拡大へとつながっていく。同時に、別件逮捕・自首減免・司法取引を組み合わせた自白(密告)の奨励(強要)も避けがたい。自由にモノをいうこともはばかられるような、「監視社会」が出現してしまう。
 権力が国民を監視するような社会は、国民が権力を監視する民主主義を否定する。権力に対する批判の自由は国民の根源的な権利。批判の自由を守るためには、共謀罪の制定をもくろむ権力に対する批判の声を上げ続けるしかない。共謀罪を4たび廃案にするために、今こそ声を上げよう。

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