裁判史上に残る不当判決「愛知生活保護裁判」――6月25日名古屋地裁 角谷裁判長
政権“忖度”を明記
12年の総選挙で自民党は「生活保護給付水準1割カット」を掲げて公約しました。地裁判決は「自民党の政策の影響を受けていた可能性を否定することはできない」としたうえでこれを「考慮することができる」と明記しています。まさに政権“忖度”です。
最高裁判決を否定
これまでの老齢加算廃止に関する二つの最高裁判決では「国民感情」「財政事情」の考慮を認めていません。さらに「高度の専門技術的な考察」において審査すべきという具体的な判断基準を示しています。
ところが判決は「審議会の検討を経ることを義務づける法令上の根拠は見当たらない」としました。これでは審議会はなんの意味も持たないことになります。
物価偽装と憲法違反
専門家の検討を行わない厚労省は自民党の10%引き下げ公約に合わせるため、算定期間も計算式も変更して物価指数を偽装しました。しかし判決では「テレビの価格低下及び地デジ化による購入台数の増加のために物価下落率が大きくなるとしても」「不合理であるとはできない」と切り捨てました。
そのうえ1日3食とっているものが一定数いるから「最低限度の生活を下回っていたと認めることはできない」としました。憲法25条が求める「健康で文化的な最低限度の生活」を生きていく「最低限度」にまで引き下げてしまいました。憲法をここまで貶めた判決はいまだかつてありません。
このような不当な判決を許すわけにはいきません。原告たちは直ちに名古屋高裁に控訴しました。