人間何歳になっても
岩田 道子
革新・愛知の会世話人・元豊田市会議員
世の中で“孤老”という言葉ほど淋しく辛いものはない。阪神淡路大震災の後、孤独死した多くの人がいた。他人事ではない。私も孤老という言葉を真剣に考える齢になった。
心は若いつもりでも、肉体だけは正直に弱りはじめて、病院に縁が切れない。最近も階段で転倒して肋骨を折り三週間ほど寝返りも出来ず痛さと、不自由さに泣いた。
初めて紙オムツの世話にもなった。我ながら情け無く余生をいかに生きるべきか考えつづけた。結論として老いの現実を認めるしかないと悟り、自己責任で健康管理をして出来るだけ家族や社会のお荷物にならないように努力すべきだと自分自身に言いきかせた。残された時間を大切にしよう。人間関係を豊かなものにしよう。
まず手始めに「昨秋から負け続けている囲碁を何とかしたい」と本気で探したところ幸運にもよき師に巡り会うことが出来た。その人は今年八十の植木職人。無口の人だが棋力はプロ並みと聞き、私は押しかけ弟子になった。
先日、対局後に「あんた早う強くおなりんよ、わしの寿命のあるうちに。」と優しく声をかけられた。亡き夫の目だった。人間何歳になっても温かい人間関係を。これ、わたしのおすすめです。