探求心を揺さぶられる加藤周一の著作を渉猟
仕事の多忙さに追いかけられることの少なくなったこの頃では、生活に変化が生じています。自由な時間を何にあてようかと迷うことはありません。したいことは山ほどあるのですから。人間が創り出した人類の貴重な財産にできるだけ接触してみたい、という心底からの渇望がまずあります。
小説・戯曲・詩、音楽、絵画、建築、映画、演劇・オペラなど。人の記憶に永らくとどめられ生き続けたものには、やはり力強い命が宿り、圧倒されることはしばしばです。こういう時、心が高揚し、生気が漲るのを実感します。
激動する時代の只中にあるだけに、日本と世界をどう見るのか、私たちに何が求められているのかを、じっくりと考える必要があるようです。
今年、鬼籍に入られた加藤周一の著作は、私には、とても刺激的です。政治・経済・文化・歴史など何事にも通じている「知の巨人」の視野の広大さ、未来を見すえる慧眼は、怠惰になりがちな探求心を否応なく揺さぶってくれます。
九条の会の代表者の一人としても活躍されたことを銘記しつつ、ここしばらくはその著作を渉猟することになりそうです。その合い間にも、興味を引くものには可能な限りあたり、こやしにして行こう、と思っています。
さて、「私のおすすめ」になったのでしょうか?
(原山 剛三 弁護士、革新・愛知の会世話人)